空気読むし、読まない人

いやあ、10月更新しなかった。すっかりサボってしまった。仕事が忙しいせいです。自分のせいではありません。

 

爆笑問題太田光の選挙特番での振る舞いが叩かれているらしい。バカすぎる。もちろん叩いているほうである。

 

自分は太田光という芸人を尊敬している。それはテレビに出る人間として「芸人とはかくあるべき」を何ら高尚な次元ではなく、太田本人が思うがままに実践しているからである。簡単にいえば「自分が芸人としてやるべきことを分かって無茶苦茶に振る舞っている」ということだ。

 

甘利明に「ご愁傷様」と言ってみたり、二階俊博に「いつまで政治やるの」と言ってキレさせたり、普通に考えればまあ余計なこと言いまくりでした。テレ東の池上彰が聞きにくいことをズバズバ聞くのと同じ、と言えば聞こえはいいが、もっと下世話な感じで見ている人が不快に思ってもなんら不思議ではない。

 

これだけ長いこと太田がテレビに出ているのに、未だに太田がそのような振る舞いをすることで目くじらを立てるバカがいる。選挙特番はTBSだけやっているわけじゃないのだから、それこそ別の局を見ればいいだけだ。自分は選挙特番をザッピングして見ていたが、大半はNHKだった。なぜなら「余計な情報がそれほど入ってこない」からだ。テレ東が独自色を出して成功した池上無双以降、候補者のどうでもいいミニ情報は各局取り扱うし、今回の太田の起用は「池上とは違う次元で好き放題やってほしい」というTBSの思惑があるんだろう。しかし自分にとってそれらの情報は「各局こぞってやることじゃない」くらいの感じで、邪魔。だからこそNHKを見る。そういうのが好きな人は見ればいいし、嫌いなら見なければよい。それだけの話なのに。

 

太田からすれば、自分が起用された意味なんて「空気を読まない芸人として振る舞ってくれ」しかないと思っていたはずだ。だからこそ太田は失礼を承知で、失礼に振る舞う。芸人という立場でこういう場所に出てくると、何をやっても批判されるのだから、そこんところ込みで暴れる。一番空気を読んでいるのは太田なのだ。にも関わらず、その期待に応えて批判されるのだから大変な仕事である。

 

ただ自分は手放しに太田の振る舞いを絶賛しているわけではない。自分は以前から政治家に対してイチャモン的に噛みつきがちな太田の振る舞いがあまり得意ではない。だからこそ今回も「たぶんそうなるんだろうな」と思ってTBSではなくNHKを見ていたわけで、太田のその発言や意図を理解出来たとしても、それが自分の好みかどうかはまた別物である。また、太田が「空気を読んでやっている」と書いたけども、それは一側面に過ぎず、太田本人が暴走する側面があるのもまた確か。そこが批判の対象になっているというのも分からないではない。

 

TBSが今回の(事前も含めて)選挙特番で失敗したのは「太田を起用した」ことではなく、「太田の暴走に備えてちゃんと田中のツッコミを用意しなかったこと」だ。太田がいくら無礼に振る舞っても、田中が「すいませんこいつバカですから」と言えば済む話も、それがないから太田が全部浴びてしまうのだ。もっとも田中がツッコミ間違いで余計失礼なことになることもあるが、それも込みで面白くなるのだから、やっぱり田中はいるべきだったなあと。

 

あと笑ってしまうのは、普段政治家に対して露ほどの敬意も払っていなさそうなバカが「敬意が足りない」とか「失礼」とか言って口汚く批判している感じがするんだよなあ。どの口が言ってるんだ、とも思う。太田に対する敬意はなくていいのか。いいんだろうな。

 

望まれるがままにふるまって望まれない批判をされることが分かっているのに、それでも暴れる太田光という芸人はやっぱり愛おしくて不器用なのです。自分は基本的に他人を、人間を信用しておりませんが、「他人の期待に応える振る舞いができる人間」はちょっとだけ信用しています。そういう意味で太田光は「信用に足る人間」だと思うんだけどなあ。二階を怒らせた質問は無礼であるとともに「バカなフリして核心ついた質問」だったってことが、ちゃんと理解できる人にも理解できない人にも選挙権は等しく与えられるのです。それが民主主義。

 

それはともかく、この顛末は2日火曜深夜の「爆笑問題カーボーイ」で語られるのでしょう。この日はアルピーのラジオ「チョコナナ」「DCガレージ」もあり、ラジオ好きにはお祭りでしかないな。それが言いたくて1か月ぶりの更新でした。