ひとつの目標

「あたらしいテレビ」を見ました。

 

NHKが放送した「今、そしてこれからのテレビはどうなるのか」ということをリモートで討論した番組。毎年年初に放送されている「新春テレビ放談」の緊急コロナバージョンみたいなものである。出ているメンバーもそんな感じ。

 

「新春テレビ放談」に関して毎年見て思うのが「自分の思っているのとちょっと違う」であり、テレビの中の人(作っている人)が思うものと、ここにいるオッサンが思うものとは乖離があって、そして間違っているのは自分なのだろうということ。だったら見なければいいんだけど、定点観測は大事なのである。

 

んでまあ今回も大体そんな感じになるかなあ、と思っていたのだけども、案外面白く見ることができた。それもひとえにフワちゃんのおかげだと思っている。

 

番組の後半で、コロナ以降のテレビはどうなるのかという話題に。バラエティであればそこまで大きく変更はないだろうけども、テレ東の得意分野である素人を取材する系の番組は厳しくなるだろうと佐久間P。一方脚本家野木亜紀子はキスシーンなど濃厚接触を思わせて視聴者の感情移入を妨げるものは使い方が難しくなるだろうとの見解。いずれもその通りだろうなあと思った。

 

そしてこれらの話を受けた後で意見を請われたフワちゃんが放った一言に自分は「そうだよなあ!」と強く思った。その一言は

 

上島竜兵のキスこれからも見たいよ」

 

だ。上島竜兵のキスとはなんぞや、という人はあまりいないと思うが、簡単に説明すると、上島竜兵ダチョウ倶楽部のメンバーであり、様々なお約束芸を持っている。出演者の誰かとモメたときに、その仲直りの儀式として行われるのがキス。もちろん喧嘩をはじめるところからが芸なので、始まった瞬間に安心感がある。

 

もちろん今はドラマのキスシーンはおろか、バラエティもリモート収録がメインなので、実際に上島と誰かが喧嘩することもないし、キスで仲直りもできない。言うまでもなく異常事態なのだ。今後リモート収録であることを逆手にとって、有吉あたりが上島にケンカをふっかけて、そしてキスの流れまで持ってくるけどもキスできない、なんていうものが見られる可能性もあるが、あくまでお約束あってのこと。そのお約束が出来ないというのはやっぱり哀しいことである。

 

フワちゃんの発言は番組後半にされたものであるが、冒頭の出演者紹介の段階でこの発言がピックアップされていて、自分はこれでがぜん見る気になった。フワちゃんがこんな発言をしているならちょっと期待できる、と思ったんだもの。どのような経緯でこの発言に至ったのかが上記の通りである。

 

ドラマにせよバラエティにせよ、そこに今まであった面白いものがそのまま存在してほしい、という願いを込めたかどうかは分からないけども「上島竜兵のキスが(テレビで)見たい」という発言は、自分の心に割と深く突き刺さった。今までの日常が完全に戻ることはもうないのかもしれないけども、それでもテレビの中で上島竜兵がキスできるくらいまでには戻ってほしいし、それをテレビの中の目標するのはアリではないのかと思う。

 

というわけで、バラエティ番組の「通常営業復帰宣言」には、是非とも上島竜兵のキスで幕を上げてほしいと思う。竜ちゃんのキスで素直に笑える日が来るまで、テレビは今しばらくの辛抱か。