欲しがるマツコ

「マツコ×テレ東」プロジェクトつうのがありましてですね。


マツコデラックスが事前に何も聞かされずテレ東が企画した番組をこなすというもの。自分も「まあ見れるものを見よう」と思って、そんなに真剣に見ようと思っていたわけではないのだが、結果的に全部録画して見てしまった。素人の愚痴を聞く「マツコ監禁」、素人にクイズを出題する「マツコがマネーをあげたいクイズ」、素人にマツコを貸し出す「レンタルマツコ!」、マツコが死んだという設定の「マツコ、昨日死んだってよ。」、そして最後に放送されたのが、これらの番組を総括した「テレ東に無理やりやらされちゃったのよ〜」だ。


正直どの番組もそこまで期待値を上げて見ていたわけではない。そしてその期待値を上回ることのない中身で、「まあ、こんなもんだろうか」と思っていたら、最後の最後で一番面白いのが出た。


それはマツコが「マツコがマネーをあげたいクイズ」に対して「一番置きに行っていた」と切り出した一連のやりとりである。この番組のプロデューサーは「ゴッドタン」でお馴染み佐久間宣行。マツコは「次のクールから特番ソフトにしようとしてる。イヤ〜な感じがした」と、はっきりと物足りなさを表明したのだ。「芸人さんの力でなんとなく物凄い才能があるんじゃないか。NHKとか出て偉そうにベラベラ喋りやがって*1それが一皮剥いたら何もかも全てに迎合したような内容の番組を作ってくる男」だと切り捨てた。今バラエティ業界で佐久間Pのことをここまでボロクソに貶すことが出来るのはマツコしかいない。


それに対して佐久間Pは「次のクールに特番ソフトを作れるような番組は悪くないじゃないですか?」と反論。するとマツコは「私がアンタと仕事しようと思ったとき、そんな番組を作ってほしくてこんなテスト番組をやりますか」とさらに反論。佐久間Pは「ボタンの掛け違いだ」と言うが、マツコは「ボタンの掛け違いとか言ってる奴一番嫌い」「一番の失望」とぶった切る。


マツコは「ゴッドタン」を作る佐久間Pだからこそ他の人より期待していた、と。しかし「なんであんな鬼畜プロデューサーになんとなくペロペロって書いた企画みたいな、そんなのなんで私にやるの?」と落胆を隠さなかった。


もちろんマツコが本気で佐久間Pを批判したとは思わない。そこらへんはテレビスターであるマツコの計算がある。しかし、言ってる中身そのものはマツコの本心が炸裂している。マツコほどのテレビ好きがテレビ好きに評価されている佐久間Pにやらされた仕事が「置きに行った番組」だったのだ。そりゃ失望する。


その「置きに行った感」は番組の内容だけではない。実際番組で100万円を獲得したのがミスターSASUKE山田勝己率いるSASUKE軍団だし、放送されずに今回の番組で流れるにとどまった挑戦者が有村架純の姉有村藍里だし、「バラエティにおける安パイ」をふんだんに起用している。マツコからすれば「番組全体から漂う置きに行った感」に堪えられなかったのだろう。


そんな怒りを全てカメラの前でぶちまけられてしまうのがテレ東であり、それを番組にするのもテレ東である。結果どの番組よりも今回の反省会がテレ東のアナーキーさを体現していた。マツコが番組の最後で「次テレ東とやりたい企画」として「(やるとしたら)これかな」と言ったのが全てだと思う。マツコは誰よりもテレ東のアナーキーさを欲しがっており、そしてこの番組にそれを見たのだと思う。全体的にはビミョーと言わざるを得なかったけども、最後に結論を見た気がしてちょっと面白かった。

*1:新春テレビ放談のこと