死と向き合う

「コタキ兄弟と四苦八苦」が面白いです。なんとなくつい見てしまう。

 

ただまあ「どこが面白い?」と問われるとけっこう困る。ドラマの簡単な説明をすれば「無職のおじさん兄弟が1時間1000円のレンタルおやじをすることになり、その中で巻き起こる日々の物語」になる。これで「ああ、面白いね」と通じる人なら話は早いけど、「それの何が面白いの?」と言われれば、もうけっこうそれまでである。

 

出演者からのアプローチを試みても、ドラマ好きの人には「古舘寛治滝藤賢一が」くらいで「ああはいはい、それはもう面白いでしょ」となるから説明はいらない。しかしそうでない人にこのドラマの面白さをちゃんと真正面から伝えようと思うと、やっぱり難儀である。「芳根京子が…」と続けたところで、やっぱりドラマ好きには「そうきましたか」であるが、そうでなければ「うーんと、よくわかんない」になる。朝ドラヒロインだから多少の知名度はあるんだけど、それでもやっぱりドラマの面白さにたどり着くのは難しい。

 

とまあただ「自分がこのドラマの面白さを説明しにくい」という言い訳をかましたところで、本題。先日放送された4話は「死苦」のサブタイトルがついていた。このドラマはいわゆる「四苦八苦」(仏教用語で生きる上での苦しみの分類)がサブタイトルについている(どうやらドラマは全12話らしく、四苦八苦に加えてオリジナル苦が4つ追加されているとのこと。3話の「曠夫受苦」(こうふじゅく:独身の人間が受ける苦しみ)はオリジナル)。その中での4話はストレートに「死苦」だったのだ。なんだか本来なら最終回になりそうなタイトルだけども、序盤に登場した。

 

自分の余命があとわずかであることを知る女性(樋口可南子)が、古滝兄弟をレンタルする。誰にも迷惑をかけず消えるように亡くなりたいとの願望を持っていた女性の、気兼ねなく話すことのできる「他人」として選ばれたのがレンタルおやじの二人だった。二人はその事実に戸惑うも、彼女の最後を見送る。というストーリー。こう書いたらなんだかいい話のように聞こえるが、まあそんなに大きな中身があるわけではない。でもそれがいい。

 

「死」というのは概してウェットなものである。それは距離感のある他人の死には実感が伴わず、そして実感の伴う死というのは大体の場合身内であること。ウェットにならざるを得ない。しかし今回の「レンタルおやじとその雇い主」という、いうなればお金の関係だけども、それよりは一歩踏み込んだ近さが「死とはなんだろうね」と考えさせるにはちょうどいい絶妙な距離感だったと思う。まあ自分がそう思っただけで、そんなに大層な話でもない。はず。

 

日常で死と向き合うことはそう多くはない。しかしこういうドラマが何かのきっかけになる。中年のオジサン二人が主人公のすっとこドラマ。面白さは伝わりにくいけど、確実に面白い。芳根京子がかわいい(前回に引き続き2度目)。

 

 

 

 

 

 

 

とまあ、いっぱしのレビュー気取り的文章を書いてみましたが、さっきウンコ漏らしたんですよ。いい歳こいて。いますぐ死にたいです。日常にある数少ない死と向き合ったので腹いせにこんな文章書いてみました。さようなら。