ザッツ・ベタ

婚カツ
中居正広主演の月9。


実に11年ぶりの中居主演の月9ということだが、あまりその点を強調する必要もなく、単純に「ベタに面白いフジのドラマ」である。


特別「この先どうなるんだろう」とドキドキするようなドラマでもないし、翌日特段話題にしたいようなドラマでもない。しかしフジのドラマが培ってきたドラマのベタな面白さを完全に内包しているはずさないドラマである。面白さに安心感がある。言うなれば「定食屋のようなドラマ」だ。「BOSS」のような「いいとこどり」という訳でもないのに、なんだこの不思議と見ていられる感じは。


最近のドラマはどうしても目新しさを求めてベタでない方向に持っていこうとする。もちろんそういう意欲がないと新しい面白いドラマって生まれないと思うんだけど、一方でベタなドラマの持つ面白さをないがしろにしている感もある。前衛的な創作料理のレストランも必要ではあるが、安くて美味い定食屋も必要なのだ。このドラマはその定食屋のニーズに見事に応えてはいないだろうか。


ここ最近の中居の出演作は「白い影」「砂の器」「私は貝になりたい」など、かなり重めのシリアスな作品が多かった。しかし今回の役は中居の身の丈に近く(設定や年齢が、という意味で。実際の中居は婚活をしなければならないような立場ではない)肩の力を抜いて楽しめる。変な言い方だけども「バラエティの中居」をドラマで見ているような気安さ。


上戸彩佐藤隆太はもちろんのこと、その他脇を固める役者も手堅すぎて安心。唯一連続ドラマ初出演となるKAT-TUNの上田だけ怪しいもんだけど、それ以外に不安要素はまるでない。


ドラマの中身としても、これといって面白い展開があったわけでもないんだけども、なんとなく話を見せる力に長けていて、時間が過ぎるのは早かった。初回視聴率も16.3%とまずまずの数字。大きく伸びることはないだろうけど、15%前後の数字を手堅く取り続ける気がする。「絶対に見逃せない!」というわけでもないんだが、気付いたらテレビをつけて見ていそうな作品。まだ初回ですが、ドラマという媒体の面白さが滲み出る「いい」ドラマだと思います。