特命リサーチ2009

キイナ〜不可能犯罪捜査官〜
菅野美穂主演。「ザ・世界仰天ニュース」などで紹介された実際に起きた不可思議な出来事をベースにした事件の謎を解き明かすドラマ。


初回の視聴率が16.5%とかなり高い数字が出ました。回によっては20%越えの高い数字も叩き出す前番組の「仰天ニュース」が12.9%とそこまで高くなかったにも関わらず(はからずも「新山千春の出産なんて世間の人はさほど興味がない」ことがはっきりしてしまいましたが)、これだけの数字を出すというのは立派なもんです。同じ枠で同じ菅野主演だった「働きマン」の初回(にして最高の)視聴率15.7%を超えたということからも数字の高さは推して知るべし。


でまあ、高い期待(=初回視聴率とは期待値だという自分の感覚)にドラマの面白さが伴えば最高だったんだけども、個人的には「まともなドラマとして見るほどのもんでもないな」という程度のもんでしかなかった。なんだかそれこそ「世界仰天ニュース」などで紹介される再現VTRの出演者を超豪華にしたような印象しか受けなかった。


ドラマのストーリーはそれこそ本当に実在の事件のあらゆる引用で、最初からそう言ってる以上はそこに文句をつけるのはお門違い。だがそれ以外のいわゆる「ドラマ」の部分が、手垢にまみれまくっている「どこかで見た」というのも面倒なくらいのやる気のなさ。オリジナリティがないにも程がある。


事件だけに価値があるドラマを流すのだったらそれこそ「仰天ニュース」の再現VTRで構わないわけだ。ちゃんとした役者が演じるからこそ価値があるんではなく、オリジナルのドラマとして優れているものを役者がやるから価値があるのに、何を勘違いしたか肝心のオリジナルドラマ部分に力が全く入っていない印象を受けた。菅野美穂は非常に魅力的であるが、ドラマの主人公「キイナ」にはちっとも魅力を感じなかった。ドラマ単品として放送する意味が自分には見えなかった。


役者が再現VTRのコマのように無意味に使われる。こんなんどこかで見たことあるなあ、と考えていたら思い出したのは「特命リサーチ200X」だ。日テレで96年から02年まで放送されていた番組。俳優演じる調査員が取り上げる事柄を調査し紹介していく。厳密にはドラマではないし、前述のような再現VTRとも違うんだけどいちばん近いのはコレだろう。同じ日テレが作っているのだから当然といえば当然か。


自分は別に「特命リサーチ」の面白さを否定しない。あれはああいうドラマ(というか小芝居)仕立てのパートがあったから調査部分も面白かったような気がするし。ただ、「特命リサーチ」を最初からドラマとして(ドラマ番組だとして)見ていたならばそれは面白いとは思わなかっただろう。今回の「キイナ」はまさにそれ。


最初から「実在の事件を元にした」とは言ってるけども、かといって再現VTRだったり「特命リサーチ」のような小芝居をやるのとは別の話。題材は題材としてちゃんとしたドラマになってないとやっぱりキツい。次回見て同じような状態だったらリタイアします。