悪者にするのは容易だけど

・誰も守れない
24日から公開の映画「誰も守ってくれない」の前日譚。要するに映画の宣伝のために拵えたドラマ。主人公の勝浦(佐藤浩市)、同僚の三島(松田龍平)以下映画の主演者が多数登場し、人物造形の把握には役立つ。ただしドラマ単体だと映画に繋がるのか説明不足な部分も多く、またドラマ単体で描きたいものが散漫で中途半端であるためそれほど評価出来ない。


映画では報道被害を描いているようだが、今回も一部そのような描写が登場。それこそ事件の被害者の娘(木村佳乃)が事実無根の噂がネットにより流布し、それに食いついたマスコミが彼女の周辺に押し寄せるというもの。明らかに映画を意識した軽いネタ見せの態でありさほど深く突っ込んでこなかったわけだが、「事実無根なのにネットで中傷されマスコミが取り上げる」という構図に安易さを感じるとともに不満がある。


「ネットの言われもない中傷」というのは確かに存在するとは思う。マスコミが「何か」に都合のいい方向にミスリードすることもあるだろう。しかしその両方が合わさり、事実無根の中傷を検証もなしにマスコミが流布するという事態はあまり見かけないと思うのだが。そこまでネットもマスコミもバカじゃないだろ。なんかこのドラマ及び映画(の予告)からは、必要以上にネットを簡単に悪者にしようとしているのが気になる。


報道被害を描くにはそりゃネットもマスコミも悪者にする必要がある。しかし必要以上に悪く描くのは違うと思うのだが。映画に描かれているように、犯人の写真を晒すことはあるだろうが、犯人の家族の写真まで晒すなんてことまでさすがにしてないような気がするんだけど。それとも何か実例があってそういう描き方をしているんだろうか?そこらへんがちょっと解せないわけで。何か頭の中だけで「こんなに酷いことになっている」と作ったような感じがするのは自分だけだろうか。