おもすぎる名前

ありふれた奇跡
山田太一脚本。仲間由紀恵加瀬亮主演。加瀬は連ドラ初出演になる。


実は山田太一脚本のドラマって今までマトモに見たことがない。氏の代表作といえば「ふぞろいの林檎たち」なのだろうけども世代ではないし、97年に製作された第4シリーズも見ていない。単発のSPドラマもコンスタントに放送されてはいるが2時間ドラマはどうも不得手であまり見ないゆえ、結局触れる機会がないままここまで来た。


でまあ、実際「どんなもんだろうか」という手探りな感じで見たのだけども、やはりと言っては失礼なのだろうが非常にストーリーテリングが巧みで、地味な話であるにも関わらずドラマを見ている最中に時間の長さを感じることはなかった。簡単に言えば引き込まれた。


ドラマの進展具合としては「見知らぬ二人が出会い、何かしら心に傷を抱えているようだ」という事前情報で事足りる程度にしか進んではいないのだけど、それでも引き込まれたのはドラマに見せる力があるってことなのかなあと漠然と考えたり。


初回の数字は12.5%とお世辞にも高い数字とは言えなかった。前作「風のガーデン」が緒形拳の逝去があったにせよ初回20%越えの数字を出しているだけに物足りなさは否めない。仲間由紀恵が主演でこそあるが、テレビの連ドラには初出演となる加瀬ではインパクトが弱いし、以下脇を固める達者な役者陣が揃って高齢で地味。「良作」の雰囲気だけは伝わってくるが、それだけではチャンネルを合わさせる力はないのかも。


自分も録画はしたけど見ようかどうかは実際迷っていた。未見だった自分にとって「山田太一脚本」は思った以上に敷居が高い感じがしたわけで、そう感じている人は案外多いのではないだろうか。そもそも山田太一脚本のドラマが肌に合わないという人もいるだろう。「味は素朴で美味いのだろうけど、なんか敷居が高くて入りにくい料理屋」。そんな感じ。


このドラマを見たから偉いわけでもないし、見て面白くなくてもダメというわけではない。そのくらいの軽い気持ちで見るのが一番なのだろうけどソレを許さない感じがする「山田太一脚本」の文字。いいんだか悪いんだか、という気はする。