偽りの最終回

・コードブルー
SP版。連ドラの最終回から1週間後、メイン5人の謹慎処分が明けてから起きた電車の脱線事故を描く。


連ドラがさほど面白かったわけでもなく、視聴率としても初回と最終回が多少高かっただけでそれほど高い数字を記録していたわけでもないのにあっさりとSP版が放送されたというのも変な話だと思う。しかも連ドラ終了3ヵ月後にだ。


SP版の設定がドラマ最終回から1週間後という設定なのも違和感あり。視聴者としては放送から3ヶ月空いているわけで、再放送はされていたものの(もちろんされていない地域だってあるだろう)実際に空いていた期間よりも短い時間経過しかないのは感覚として「ん?」となってしまう。視聴者の時間間隔としてもドラマの延長として、つまりは間髪いれずに放送してくれたほうがどれだけ良かっただろう。


そして注目したいのはこのSP版で色々なことに「別れ」という観点で決着がついていること。右腕を負傷した黒田(柳葉敏郎)が病院を去る姿、藍沢(山下智久)の祖母の認知症が回復し病院を去る姿が軸。裏を返せば、これらの重要なテーマを連ドラでは描ききれていなかったということ。


これはつまり「最終回たるべきテーマを出し惜しみしていた」に他ならないわけだけど、3ヵ月後のSP放送を見越して残しておいたというのも変な話だと思う。これらは本来通常のドラマ枠で消化しなければならない話のはずだ。連ドラの最終回よりも今回の放送が最終回のほうが完全にしっくりくる。


ではなぜこのSP版を連ドラのときに放送しなかったのか。自分なりに考えてみたが、二つの理由が推測される。ひとつはSP版を放送することが早い段階で決まっており、そちらにネタを回さなければならなかったという説。勝手な推測ではあるが、このドラマは視聴率次第で映画化まで視野に入れていたんじゃないだろうか。キャストも豪華だし、続編の作りようがいくらでもある。ただ、そう考えたとき「ドラマ最終回から1週間後」という時間設定は非常にネックになる。3ヶ月後の放送でさえ違和感があるのに、映画公開でもっと離されたらなおさらそう感じるだろう。


もうひとつは「単に話が連ドラの枠で収まりがつかなかった」だけ。つまりは制作側の不手際である。本来収めなければならない話を収めきることができず、新たに時間を設けないと収拾できなかったというだけの話。自分はこちらの説を採りたいと思う。


やはり引っかかるのは「最終回から1週間後の話をわざわざ描く」という点。これ本来なら最終回直後で放送しないとおかしいわけで。撮影が追いつかなかったという事情もあるのかもしれないけど、視聴者がドラマを忘れないなるべく早い段階で放送しないと意味がない。にも関わらず3ヵ月後に放送するなんてのは異例中の異例だ。


結局のところこのドラマは連ドラの尺で収まりきらなかった話をむりやりSP版として3ヵ月後に時間を確保して放送したという色々と苦しい事情の産物なのではないだろうか、という結論。今回が最終回ならドラマ全体の評価も多少上がったような気がするが、3ヵ月後にのこのこ放送されたところで「何をいまさら」でしかなく、その上2時間ドラマとしてはさほど面白みもなく、トータルとしては評価が上がることはない。色々と勿体無い気はした。


それよりもエンドロール見るまで西田尚美が出演していることに気付かなかった自分を激しく責めたいと思う。産休に入りしばらく見てなかったとはいえ、出演に気付かないまでになってるとは酷すぎる。あんなにはっきり母親役として出演してるのに、だ。ファン失格かな。