サザエさん症候群

ブラッディマンデイ
マンガ原作のいいところと悪いところをそれぞれ併せ持っていたとは思うが、それなりによく出来た作品だった。


どうしてもマンガならではの突飛すぎる展開がドラマに不向きではあると思うんだけど、「24」の登場もあって(ドラマとしての手法が「24」と類似していると指摘されてもいた)、突飛な展開に視聴者がそれほど驚かないというのは好材料だったのでは。原作未読なので実際はどうだか知らないが、主人公がハッカーの側面よりもテロリストと対峙する赴きが強くサスペンスとしての面白さは充分。逆に主人公が天才ハッカーであることがそれほど重要でもなくなったり。ハッキングシーンにCG使ったりして盛り上げるのに苦心した跡は見受けられるが、いかんせんハッカー行為はドラマで描くと地味だからしゃあない。


あと原作未完につき仕方ないことかもしれないが、結構投げっぱなしにして終わった要素があり、物語としては完成度が低いといわざるを得ない。特に最高に思わせぶりな存在だった主人公藤丸(三浦春馬)の幼馴染九条音弥(佐藤健)が本当にただ思わせぶりなままだったのは大きくコケた。佐藤健の演技もショボかったし(特に最終回の振り向き様に驚く演技は酷すぎる)、一体なんだったんだろうと言いたくなる。


それでも全体的には合格点と言いたい。視聴率は10%そこそこの低空安定飛行だったが、最終回にきっちり最高視聴率(それでも13.2%)を出したし、深くツッコミを入れなければ十分に面白かったと思う。特に10代はきっちりハマれるドラマだったんじゃないかと。


主演の三浦春馬はかっこよかったし(今後も充分に主演を張れる素材になると思う)、2本掛け持ちながら重要な役だった成宮寛貴に、吉沢悠松重豊らも良かったが、このドラマはなんと言っても女優陣が光っていた。裏の主役と言ってもいいテロリストの吉瀬美智子は露出度も高く存在感抜群。同級生のヒロイン役藤井美菜の美しさは特筆モノ。小西真奈美大後寿々花を擁する事務所カタマランの所属であり、単に自分のツボなだけかもしれないが。


さらには真犯人「K」としておいしいところを持っていった徳永えり、相変わらず病気持ちの役が似合う川島海荷と次世代の有望女優が出演していたドラマとして記憶に残りそう。本来ならフジの土曜23時台がこういう役目を担おうとしていたはずなんだけど、果たしてどうなることやら。映画も巻き込んで今更ケータイ小説「赤い糸」っていうのがキツい。もうブックオフに大量に並んでますよ。