救わない

ドラマ「僕たちがやりました」が面白かったです。原作は未読なので、原作との比較どうこうは出来ないのですけども、ドラマ単品で感想を述べれば「よくこの結末で終わらせたなあ。やるなあ」である。


事件から10年後、腹違いの弟を刺殺し服役したパイセンが仮出所したことにより再会した4人。伊佐美は今宵と結婚し、マルはキャバクラのオーナーに。トビオだけがその日暮らしのフリーターとして生活していた。それなりに楽しい再会を果たすも、解散後「もう会わないと思う」と今宵に告げる伊佐美、自身の体験を厭わず金払いの良い客をカモにするマル。この描写から「過去は過去、現在は現在」といった元仲間の二人が描かれる。


一方でトビオは偶然元恋人の蓮子と再会するも、別の男性と結婚し妊娠していたことを知る。そして自殺した市橋を投影した「自殺願望」の陰に苦しむ描写で終わる。


ただ結末を書いただけでも悲しいくらいに全く救いがない。普通ドラマってのは、物語ってのは多少の救いがあるもんだろ、と自分は思ってしまう。そっちのほうが後味がいいし、やっぱドラマだよなという気分にさせられるが、そういうの一切なし。軽い気持ちのイタズラ心が人生を狂わせたことにより、真正面から「人生は狂うし、そんなに簡単に許されるもんではない」という事実を残酷に突きつける。


一番真正面から事件と向き合ったトビオが一番苦しみ、爆破事件のきっかけを作ったという意味では一番真正面から向き合わなければいけないはずのマルが一番成功している、という皮肉。「人間ある程度クズなほうが楽しく、成功する」という強烈なメッセージであるようにも思える。トビオのように真面目に受け取ることも大事であると同時に、過去を引きずらなければいけないことの不幸も知るべきなのだろう。


ドラマに込められた強烈なメッセージは、大人であればあるほど「生きているうちに何か味わったことのある感覚」だと思うのだ。だから自分なんかは「ドラマでこんな現実じみたこと見せなくても…」と思ってしまうのだが、それは間違いなのだろう。なぜなら、このドラマは少年漫画が原作ということもあるが、確実にターゲットは若者なのだ。若い人が見てどう思うか、そこに主眼を絞っているように思える。


そりゃ原作にある程度忠実ではあるだろうし、ドラマ作っているほうも説教じみた意図で作っているわけじゃあないだろう。しかしそれでもなおこのドラマが放った強烈なメッセージが誰かに刺さっているのだとすれば、それはそれで素晴らしいことなのかもしれない。


あとずっと言いたかったこととして、トビオが蓮子と結ばれたあとにベッドで蓮子に腕を回すシーンがあったのだけど、その時のトビオこと窪田正孝の腕のムキムキっぷりが尋常じゃなくてちょっと笑いました。あと永野芽郁川栄李奈はこのドラマでかなりファンが増えたんじゃないかと。

安室奈美恵、引退

芸能人に引退に関しては、以前書いたこの記事以降考えが変わってないので、改めてこちらを。


まあ安室さんが所さんの言うところの「よっぽどすごい人」に該当するか、という議論はあって、自分は「該当する」とは思うのですね。ただまあそれでもやっぱり「芸能人の引退ってなんだろうか」という気持ちが自分の中で拭えないわけではないですけども。