緩急!

半沢直樹」が面白かったですねー。


池井戸潤の小説が原作。日曜21時のTBSドラマはハズレが少なく、また、権力闘争に明け暮れる大量にオッサンが登場する、いわゆる(というか自分が使っているだけの)「オッサンドラマ」はやっぱり面白い。というわけで面白くないわけがないこのドラマであるが、やっぱり面白かったわけですね。


堺雅人の抜群の安定感はもちろんのこと、脇を固める役者も豪華。見渡す限りオッサン、オッサン、オッサン。若作りである及川ミッチーだってもう立派なオッサン。本当にオッサンだらけ。夏の暑苦しい時期にこんな暑苦しいドラマをみんな見るんだから世の中分からんもんです。


でまあ、ドラマ本編が面白かったのはとりあえずいいとして(いいのか?)、このドラマの巧かったところといえば「シリアスなのにツッコミを入れたくなる緩急のつけ方」ではないだろうか。これはもうキャスティングの妙、と言い換えることも出来るのだけど、敢えて「緩急」という言葉を使いたい。


例えば半沢の父親が笑福亭鶴瓶。全然笑わせるシーンじゃないんだけど、回想シーンで鶴瓶がネジ持ってたらそりゃ笑うって。笑わなくとも「鶴瓶かい!」ってテレビの前で言いたくはなる。さらには上戸彩。オッサンがいかつい顔で並んでいると思ったらかなり軽い感じで上戸彩が奥さん演じてるんだもん。いやそういう役回しなのだから何の問題はないのだが、なんか拍子抜けする。その一方で「でも本当はもっとワイルドな旦那が家にいるんだろ?」とか、このドラマを見ている本物のオッサンの下世話な呟きを一手に引き受ける大変な役割だったりする。しかし上戸彩は人妻なのになぜあんなに可愛いのか。参院選の前に議論すべきテーマだと思う。


オカマ口調のラブ様こと片岡愛之助、人相がいつも以上に極悪な「ミスターどんなドラマにもいる人」こと香川照之、小物感が半端ない宮川一朗太、いつもに比べると大物感を出さない北大路キンキンなど、いちいち突っ込んでいたら本当にキリがない。そして何より今回の緩急において最も強烈な出オチ感を与えてくれたのが壇蜜ですね。「壇蜜て。愛人て。まんまやないかい!」と関西人でもないのに関西弁でツッコみたくなりますもん。


内容はハードなのだけど、随所随所に「キャスティングの緩急」が効いている。下手なドラマだとストーリーそのものに緩急をつけてしまい、ストーリーそのものがどっちらけになったりするのだが、本気を醸し出しておきながらキャスティングでふざけるというこの手法。いやもちろんふざけてはいないんだろうけど、見ているほうに心のスキを与えるいい仕事。次週以降はオッサンたちの配置には慣れるんだろうけど、壇蜜だけは「壇蜜かい!」と毎週なっちゃう気がするんだよなあ。


ドラマにふざける余地はないから、せめてキャスティングだけでもユルく設定しておく。是非はバランスの問題だと思うけど、自分はこのドラマにおいてはかなり上手くできているんじゃないかと思うわけで。2時間あっという間でしたね。来週以降も自分は律儀に「壇蜜かい!」と突っ込んでいきたいと思う。


今期は何気に見たいドラマがたくさんあってちょっと心配。