笑い飛ばせばええねん

ショーンKことショーン・マクアードル川上が経歴を詐称していたと話題に。それを受けて本人がHPで謝罪、出演している番組を降板するという事態に。4月からフジのアンカーマンになる予定が白紙になった。こんなところでもフジは逆風というのがなんともまあ。


経歴詐称という話題は数年に一度くらいのペースで話題になる。不思議なのは「多少調べれば分かるようなことでウソをつく」という点だ。バレたら少なからず批判を受けるというのに、その「バレて怒られるリスク」に対して「ウソをつくことで得られるメリット」があるということなのだろう。まあHPにちょろっと書くだけ、紹介文に一行載せるだけの簡単なウソではあるが、自己紹介のときには少なからず、いやかなりの部分で経歴は見られるわけだから、バレなければ大きく出ておいたほうがそりゃいいんだろう。


経歴詐称だって殆どの場合はバレない。なぜなら話題になれなければ誰も調べようとも思わないわけで、この世の中にはおそらく山ほど経歴詐称は転がっているだろう。偉くなるため、有名になるためには多少のハッタリで経歴を詐称する。けど有名になればなるほど、経歴は詐称しないほうがいいというジレンマを抱えることになる。だったら最初から詐称するなというだけの話ではあるし、詐称しなくてもいいような経歴を積み上げろというのはド正論ですよね。けどド正論だけで話が片付くなら誰も何も困らない。


経歴を詐称して何が悪いのかを考えてみる。それはおそらく「ウソついていること」だろう。言い方を悪くすれば「他人を騙して、欺いている」ことになる。「見栄を張っている」なんて言い方もできるのか。しかし、よくよく考えたらそれ以上でも以下でもない。テレビでコメントを語るのに学歴は必ずしも必要ではない。視聴者は「なんか知らんけど低音ボイスのちょっといい男が喋っていること」に意味があるんだもの。自分は「なんかクリスペプラー痩せたな」くらいの認識でしかなかった。ただまあ「ウソつきが(偉そうに)コメントしている」となれば、今後のコメンテーター業は難しいのか。どんなこと言っても説得力に欠ける。


また、持っていない資格を名乗って仕事をすればそれは何かの法にひっかかる可能性はある。経営コンサルタントという面でMBAを持っているというのがウソだったのは問題があるだろうが、仮に経営コンサルタントとしての仕事が順調で(報道ではこのコンサルタント業自体怪しいという見方もされているけども、それは自分には判断がつかない)あるなら、MBA持ってなくてもちゃんと仕事出来ているという意味では優秀だという言い方もできる。


なんにせよウソだけでここまで出来れば、それはそれで大したもんではあると思うのだ。ウソによる実害が出ている(詐欺で誰かの金を騙し取っている、とか)のであれば問題外だけど、ウソによってここまで何もなく世の中を渡っていたならば、そういう才能として認められていいし、コメンテーターとしても優秀なんじゃないかとすら思える。あくまで「思える」だけど。


ウソをつくことは悪いかもしれない。けどそのウソで実害が出ていないのであれば、それは責められるべきか。政治家ではない、少なくとも「低音ボイスのなんとなくいい男」扱いでしかなかったコメンテータがついていたウソを、「そんなもんだよな」と寛容に笑い飛ばす心を持てるほうが互いに幸せなんじゃないのかと東大卒(詐称)の自分は思う。