正論、だが

乙武洋匡が現在の不倫と過去5人の女性と不倫関係にあったことを告白。公式HPに自身と妻の謝罪文を掲載している。


もはや今年に入ってから何人の有名人が不倫だと騒がれてきたのか。まだ今年3か月も経っていないのに、なんかもう今年はおなか一杯すぎる。爆笑問題が「漫才のネタに入りきらない」と嘆く気持ちもよく分かる。不倫だから別に今年に入ってから始まったものではないんだけども、なんでまあ今年はこうも不倫だ不倫だと騒がなければならないのか。不倫どころか結婚もせずに本日(3/24)配信となるロマサガ2にわくわくしている自分とはもはや住む世界が違う。


しかしこれだけ連日不倫の報道が出てくると、「マスコミ(世間)に対してどうするのが正解か」ということをどうしても考えてしまう。もちろんケースバイケースであるし、正解なんてものは存在しないのだろうが(そもそも不倫することが一般的には「正解」ではないので)、少なくとも「こうじゃねえだろ」というものは見えてくる。


そもそも論として、「不倫は家族の問題である」ということ。不倫は「婚姻を継続できない理由」にはなり、損害賠償は発生するけども(こと芸能人に関して言えばCMとのスポンサー契約の話も重なってくる)決して犯罪というわけではない。だから極端な話「相手が許せば不倫はしても構わない」ということにはなる。もちろん有名人はイメージを商売にしている部分があるので、それだけでは済まないから面倒くさい。ただまあ基本的には「不倫は家族の問題」だと思う。


たとえば「ゲス不倫」としてもはや風格すら漂う川谷絵音の場合は、奥さんがLINEの画像を積極的に譲渡する(と本人が認めたわけではないが、そうだろう)など、完全に不倫に対して怒りまくっている。これは完全に「許されていない不倫」です。川谷は世間に対して「誰に謝るのかよく分からん」なんて言ってしまいますが、まずは妻に死ぬほど謝らなければいかんのですよ。謝っているでしょうけど、許されてない。あと川谷がかけた周囲に対する迷惑に無頓着であるところに反感の火種はある。


その一方で石井竜也は奥さんと手をつないでマスコミの前に登場。「不倫はしちゃったけど嫁さんに許してもらってますよ。仲良しですよー」というえげつないアピールだった。「そもそも今石井竜也の不倫に誰か興味ある?」という点を見ないことにすれば、マスコミの鎮静化には一番正しいやり方だったような気がする。「相手が怒ってない以上、外部があれこれ焚き付けることはできない」という話になるんだろう。


それを踏まえたのか、今回乙武はHPにて「妻の謝罪文」まで掲載した。どうなんだろう。なかなかにゲスいな、と自分は思った。


もちろん今までの自分の話の筋立てから行けば「奥さんが怒っていない以上、周りがどうこう言える立場にはならん」ということになる。乙武夫妻も文面には起こしていないけども、要するに「夫婦ではもう済んだ問題になっているので、これ以上焚き付けないでね」と言いたいのだ。その裏側には「これから政治家として立候補するんでそっとしといてや」という事情があるのは、誰でも想像がつくだろう。


けど自分にはそれ以上に「もう完全に政治家気取りじゃないっすか」という部分も少しハナにつく。


妻がコメントを掲載して「許す」というのは心情的にも作戦的にも分からんではない。けどこの文章が奇怪なのは「妻が謝罪している」ことなのだ。だって妻は全然悪くない。「世間を騒がせたこと」に対する謝罪にしても、それはやっぱり妻がすることじゃないだろう。じゃあこれは何の目的なのかと言ったら「夫婦一枚岩で、政治家として、政治家の妻としてやっていく」という決意表明ですよね。まだ立候補してないのに。自民党の公認外れるかもしれんのに。いや、立候補も公認もあやふやだからこそのこの一手だろうな。自分には選挙カーの中でウグイス嬢に股間を触らせている乙武の姿が目に浮かぶ。


妻が自発的にこのコメントを持ってきたならば大した人物である。そりゃ不倫を「とりあえず許す」ことなど朝飯前だ。ただそうでなかった場合、政治家の妻になろうとする身として、旦那の説得によって渋々この文章を「受け入れた」ならば、乙武の身に不審な事故が起きても文句は言えないんだろうなあとは思う。


「夫婦間の問題として解決したからこれ以上騒ぐな」というのは正論だ。しかし正論はただ理屈の通った意見であり、それが必ずしも「正しい」解決方法ではないことは、社会人ならばみんな身に染みて知っている。もちろん乙武だってそうだろう。しかしそれでもなおこんな「アホみたいな正論」しか出せない立場になってしまったのだなあ、と思ってしまう。「手足以上に、不倫中のベッドでは股間が言う事を聞かなかったんです。ごめんなさい」くらいの暴論暴言は乙武のポテンシャルをもってすれば平気で言えたはずだ。けど今はそれが出来ないというのが、今の乙武の全てなんじゃないのか。


不倫というなかなかに笑えない、ジョークが通じないシチュエーションにおいて、石田純一の「文化や芸術といったものが不倫から生まれることもある」という発言はやっぱり素晴らしい。もちろんこれが大バッシングに繋がったわけで、名言ではあるけども正しい解決方法ではないんだけど。