脱バランス

テレ東「チマタの噺」が結構面白い。


笑福亭鶴瓶がテレ東で開チン事件以降初のレギュラー番組、ということで開始時に少し話題になったこの番組。ゲストとチマタの人(一般人)にインタビューした映像を交えつつフリートークをするというもの。鶴瓶のレギュラーで対一般人といえば「家族に乾杯」(NHK)であり、ゲストとのフリートークでいけば「A Studio」(TBS)であり、特段目新しい番組ではないのだけど、この番組が他の番組と一線を画す部分がある。


それは「ゲストのローテーションが早すぎる」ことだ。普通ゲストを呼ぶバラエティ番組では、早くても半年、大抵は1年くらいの間を空けて出演することが多い。それは単に番組の宣伝のローテーションがそれくらいだったり、旬の人物を呼ぶとそうなったりすることもあるだろうが、最大の理由は「同じ人を何度も出演させても目新しさがない」ということだろう。そんな「トーク番組の常識」をいとも簡単に超えていくのが「チマタの噺」なのだ。悪い言い方をすれば、バランスとか全く考えていない。ただそれがいい。


この番組が始まったのが昨年10月なので、まだ始まってから1年も経っていない。先日の放送で28回である。にも関わらず、既に2度出演しているゲストは7組に及び、3度出演しているのは「おすぎとピーコ」「金慶珠」の二組。特に金慶珠は2か月に1回のペースで出演している。こんなにハイペースで呼ばれるトーク番組は他に思いつかない。


ゲストの中には、ノーベル賞を受賞した山中伸弥教授みたいな大物が混じっていたりはするものの、基本的に旬であるとか番宣であるとかの類はほぼ見当たらない。もう単純に「鶴瓶が話をしたい人」というだけ。しかも話の中身がたまにぶっとんでいたりする。いまや兄弟そろって出演することも珍しいおすピー(おすぎが福岡在住のため)の回では「おすぎはムケている」というおそらく今年最大にどうでもいい情報が飛び出したり、渡辺えりの回では「昔正月にトラックの運ちゃんに輪姦されそうになった」とか、先週の森山直太朗の回では「鶴瓶、凄十を飲んで朝勃ちする」だとかおおよそ普通のトーク番組では放送しない内角エグめの話がガンガン飛び出す。


そのうちこの番組は数人の準レギュラーゲストが出来て、1クールにその数人でトークを回すようになるんじゃないかとすら思える。MC、ゲストともに話題が豊富でなければできない技なんだろうけど、鶴瓶なら、ここに何度も登場するゲスト陣なら出来そうな気がする。この番組が見れる環境にある人は一度ではなく、複数回登場するゲストを楽しむ定点観測をすることをお勧めする。そういう見方をすべき珍しい番組。