引退のライセンス

最近所ジョージがゲストで番組に出る機会を目にする。


単純にゲストで出演していたり、はたまた新番組の番宣を兼ねていたり。なんにせよ自身が司会のレギュラー番組を多数持つ所さんがゲストで出てくるのはあまりない機会なので、見れるものは見るようにしていた。まあたまたま見たものも多数あるんだけども。


そんな中今日は「朝から割とカオス」でお馴染み「サワコの朝」に出演。阿川佐和子トークを展開。所ジョージの思考論がよくわかる放送だった。


なかでも自分が興味を惹いたのは「芸能人の引退について」だった。他の番組でも語っていたのだが、自身の引退について

「消化試合が半年くらい存在し、引き継ぎとか取材とか(面倒だ)。辞めますなんて言えない。」

と述べ、さらに芸能人の引退については

「辞めますというのはよっぽどすごい人が言うことで、芸能界にもいるけれど、辞めますとか復帰しますとか、うるさい。静かにいなくなれオマエと思う。辞めますということは、今度出てくるときヨロシクねと聞こえてしょうがない。だから、宣言しなくていいと思う。」

と述べた。まったくもってその通りだと思う。基本的に所さんの言ってることに反論がない。


なぜ最近所さんがこの手の質問に答えるのか、と言えば自身も引退に関する発言を聞かれることが多くなったからだろう。同世代であるたけしやさんまが相次いで引退に関する発言をしたことの余波だ。結局たけしもさんまも「引退はしない」らしいが、なぜ大物芸能人が引退を宣言するような流れに昨今なっているのか。


自分の記憶だと、引退宣言をして芸能界から去ったのは上岡龍太郎が最初なのではないかと思う。様々な番組に出演して人気も勢いもあった2000年に引退。当時まだ58歳。今のさんまとほぼ同じ年齢である。こう考えると上岡の引退がいかに早かったかが分かる。


それ以外だと「セミリタイア」を公言し、年に一度戻ってくる大橋巨泉だろうか。あとは暴力団との交際を臭わせて引退した島田紳介。ここらへんの人間が「引退」を宣言したことから「大物芸能人(とりわけ芸人)は引退を公言して引退する」的な流れが出来ているような気がする。


しかし本来所さんが指摘するように、芸能人における引退は「仕事がなくなって消えていくもの」だろう。事務所に所属している場合は、事務所との契約が終わることが引退と言ってもいいのだろうけど、基本的には免許があるわけでも資格がいるわけでもないので、本人が続ける気持ちがあれば引退にはならない。だからわざわざ宣言することもない。需要がなければ消えるのみ。


なのに「引退」を言わせる、言わせようとするのは何か違う気がする。もちろん本人がその旨を臭わせるからこそそういう話になってはいるものの、だからといって必要以上に「引退するのかしないのか」を周りが聞いたり取り上げたりしてくるのはつまらないし面倒くさい。所さんはそういうことをマスコミに牽制して発言しているんじゃないのか。しょうもない話をいちいち聞いてくるな、と。


それなのに、前述の発言をネットニュースがこぞって「芸能人の引退に対して苦言」と騒ぎ立てる。不可解極まりない。なぜ所さんがこういう発言をしているのかをちゃんと理解していないんだろう。「必要以上に周りが聞いたり取り上げたりしてくるのはつまらないし面倒くさい」と述べているんじゃないのか。それが理解できれば、こんな取り上げ方をしないし出来ないだろうに。本当に苦言を呈しているとでも思っているのだろうか。


芸能人において、引退宣言はおろか引退するのに資格はいらない。だから発表も宣言もする必要はないのだ。所さんがそう思っているのは事実。しかしこの発言の趣旨はそこにあるんじゃなくて、「そういうことをいちいち聞いてくるマスコミどうなの」だと自分は思うんだが。それとも字面通りなのか。本当のところはよくわからない。


ただ、ひとつだけ間違いないことがある。所さんの発言の矛先は確実に加護ちゃんを向いている。加護ちゃんは反省しなさい。