しかし嫁が

今期のドラマ面白いですよねえ。誰に同意を求めているか分からないんですけど。

 

NHK朝ドラ「まんぷく」はいよいよ即席ラーメン「まんぷくラーメン」が完成し、ここから怒涛の快進撃と思いきや、「本家まんぷくラーメン」を名乗る商品が登場し、まんぷく食品の抗議をのらりくらりとかわしながら対立していく、という展開。

 

へいひの(濱田岳)主演の「フルーツ宅配便」では、各話ごとにデリヘルを通した人間模様が描かれている。物語は後半に突入し、咲田(へいひの)の同級生えみ(中尾明慶の嫁)が働くデリヘルが悪徳店という噂を聞き、咲田がそわそわし始める。各話の展開もさることながら、物語の真ん中を貫くストーリーがどのように転がるのも気になるところ。

 

とまあ、両者ともきな臭い展開になっているわけですが、両者ともに黒幕が田中哲司なんですよね。「まんぷく」では「本家まんぷくラーメン」を作る会社の社長、「フルーツ宅配便」ではえみが働くデリヘルのオーナーである。両方とも似たような立場です。

 

田中哲司はその起用度でいえば、新井浩文を凌ぐ日本のドラマと映画に欠かせない俳優である。とてもではないが逮捕されて作品がお蔵入りなんてことになってはいけないレベル。マジメな役もこなせるが、どちらかといえば一癖も二癖もあるような役が得意。上記ドラマに関しては両者とも「分かりやすい悪役」ではあるが、単に悪いだけではない何かを感じさせる。頼んでないけどそういう風になるからこそ田中にそういう役がまわってくる。

 

特に「まんぷく」で演じる猿渡は朝から見ている人たちの気持ちを逆撫ですることこの上ない、なかなかの悪党なのである。朝ドラの影響力たるや半端なく、街を歩けば悪者扱いされることは想像に難くない。そういう演技が上手いからこそ朝ドラに起用されているのに、現実世界で悪人扱いされるのは他人事とはいえやっぱり可哀想だと思う。思うんだけど。

 

しかし嫁が仲間由紀恵だ。

 

全てはこの一言で帳消しになるわけである。いくらドラマで悪辣で非道な役を演じていようとも、家には仲間由紀恵がいる。しかも可愛い子どももいる。ドラマの役のせいで見ず知らずの人間に罵詈雑言を吐かれることがあっても、家には仲間由紀恵がいるのだ。

 

「しかし嫁が仲間由紀恵」という言葉の破壊力。「まんぷく」の中で真一さん(大谷亮平)を激昂させても「しかし嫁が仲間由紀恵」。「フルーツ宅配便」でデリヘルの女の子を酷い条件で働かせていても「しかし嫁が仲間由紀恵」である。

 

別に仲間由紀恵そんなに好きってわけでもないんですよ(嫌いでもありませんけど)。けど「しかし嫁が仲間由紀恵」だと思うと、田中哲司のやることなすこと全てがどうでもよくなってくる。

 

これの対義語は「しかし嫁が菊池亜美」であるが、深追いはしないでおこう。