キムタクと里山

今週はテレビで木村拓哉をよく見かけた。

 

まあ正確に言えば「いろんな番組に出る予告のCMをたくさん見た」であり、実際に木村が出演している番組をたくさん見たわけではない。実際に見たのは、ながら見していた「帰れま10」くらいだろうか。まあなんにせよ映画「マスカレードホテル」の宣伝のため、あらゆる番組に出まくっている。

 

そんなキムタクを見るにつれ、自分は「降りてきてるなー」と思うのだ。

 

映画の宣伝のため、出演俳優が様々な番組に出るのはよくある話だ。やたらその時期に番組で俳優を見かけるようになれば、それはただのお調子者か映画やドラマの宣伝である。木村拓哉は主戦場が映画というわけではないが、映画に出演することがあれば、そりゃ番宣のため色んな番組に出るのだ。

 

しかし昔の木村はそんなに番宣を積極的に行うイメージではなかった。出るにしてもごく一部の番組だったし、そもそも天下の大スターであるところの木村拓哉がわざわざバラエティに出向いて宣伝をする、なんてことはあまりなかったのである。

 

ただ、時代は移ろうものだ。木村が所属していたSMAPは解散。積極的に事務所に残ることを決断した木村は悪者扱いされることもあった。未だにそういうイメージが強い人もいるだろう。しかしそうは言っても木村拓哉。自分世代からすれば紛うことなき大スターである。悪者扱いされるのは忍びない。

 

それと同時に、映画の宣伝とはいえ、積極的に色々な番組に出ている木村を見れば「そこまでする人じゃあなかったのに」とやっぱり思ってしまうわけですね。宣伝のため、もっと言えば人気伺いのため、今までしていなかったことを積極的に行うキムタク。媚びているわけでも無理をしているわけでもないんだろうけど、その様を見て自分は「人里に下りてきたイノシシ」のようだと思ってしまった。

 

山に住んでいるイノシシは、時に人里まで下りてきて畑を荒らす。それは山の中の食料が乏しくなったときに、食べ物を得るために殺される危険を冒してまで人家に入りこんだりするわけです。イノシシはイノシシで大変なのは分かるんだけども、実際に襲われる人里からすればたまったもんではないのだ。

 

それは映画の宣伝という大義名分がありつつも、好感度を期待して様々な番組に出演する木村と重なる。木村の気持ちは分かるんだけど、「キムタク降臨」に付き合わされるバラエティ番組も実はたまったもんじゃないんじゃないか。木村も木村で「バラエティ番組に下りてきてますよ」と思っているような気がする。見るほうも積極的に見たいわけではない人も少なからずいるだろう。となると、互いにとってあまり幸せな結果になっていない。

 

ではこの状態をなんとか回避するためにはどうすればいいか。「所さんの目がテン!」の企画「かがくの里」では、イノシシの害を抑えるために里山の整備を始めた。山と人里の中間に人の手入れがされた場所である里山があれば、イノシシは「これ以上近寄ってはマズい」と察知するらしく、人里での被害を抑えることが出来るらしい。

 

そう、勘のいい人ならばもう気付いただろう。キムタクにも「里山」的な番組をあてがえばいいのだ。かつての里山SMAP×SMAP」が消滅した今、スマスマに代わる新たな里山番組を与える必要がある。キムタクの里山になりうるレギュラー番組があれば、映画の宣伝といえど積極的にバラエティに下りてくることもないのではないだろうか。

 

今日本に必要なのは、キムタクの里山となるバラエティ番組だ。

 

 

 

なんだそりゃ。