虎、復活

今年は阪神タイガースが18年ぶりに優勝を決めたわけで、まさに「虎」な年であった。世間は阪神で大いに盛り上がったわけだが、もう一匹の虎も1年ぶりに復帰を決めたわけである。そう、「マネーの虎」だ。

もちろん1年ぶりというのは「深夜枠に復帰」である。ウリナリの終了を受けて、深夜枠にしては強烈な数字を叩き出していた同番組はゴールデンにいきなり昇格したものの、あの時間帯にはあまり受けがよくなかったらしく、数字は芳しくない。しかも野球中継の狭間の飛び石放送になったりと、マネ虎ファンには苦痛の1年であった。しかし、ここにきて虎が「夜は別バラ、22:54」という日テレのネオゴールデン枠に移動が決まったわけで、先日枠移動第1回めの放送があったわけだ。

ゴールデン時代は、従来のファンだけではなくファミリー層や主婦層など、些か無理のある視聴者層拡大を狙って、ドキュメント路線やファッション、グルメ、美容などの志願者を出してみたりと思考錯誤をしていたが、どれもまるでダメ。結局深夜に戻って従来のやり方にもどすべきだという結論を下したに違いない。

それは今週の放送を見れば一目瞭然であった。オープニングからもう違う。ゴールデンに移動した時は深夜時代のオープニングは放送されなかった。しかし、深夜に戻って一発目からあのオープニングが復活しているのだ。セーラー服の長瀬愛が電車待ちの踏切に立っていて、その手持ちのカバンから札束を取り出し一言「マネーの虎」。

これだ、これこそ待ち望んだ「¥マネーの虎」である。

その後も深夜時代のファン(しか残っていないと思うが)を歓喜させるような展開が続々と。吉田栄作のオープニング挨拶は夜中に日テレ前(汐留移転前)で行うのが恒例であった。しかし、今回は栄作が無駄に大きいバイク(詳しいことはわからん)に乗って登場し(本当に脈絡なし)、いきなり挨拶をはじめるというまさに栄作最高!な内容。ここまでは150点の出来である。

栄作の挨拶が終わると社長が日テレの駐車場に登場。まず現れたのがソフトオンデマンド社長の高橋がなりである。がなりはAVの虎ということもあり、ゴールデンの時は出演回数も減ったのだが、深夜に戻ってきていきなりの出演である。そして「理想の時間帯ですね」と一言。そのとおり。そして次に現れたのは高そうな外車に乗って登場するは外車の虎である南原竜樹。これまた久々の登場。あの冷徹な判断はやはり虎には欠かせない。熱めの虎であるモノリス岩井社長との対決も見逃せない。

で、かなり気合の入ったメンバーが集まったのだが、志願者が芸能人である。まあ、初回の話題つくりには必要なのかもしれないが

森脇健児ってどうなのよ、それ。

森脇健児といえばかつて「夢がMORIMORI」でSMAPを弟分として可愛がっていたが、いまや主従関係がまるで逆、でお馴染みの芸能人。最近は京都に戻って仕事を続けているらしいが、東京の番組には顔を出さなくなって久しい。もう覚えている人もそんなに多くないかもしれないわけで、まさに「崖っぷち芸能人」という印象があり、この番組の出演者としてはうってつけだ。

しかし、ここで森脇を持ってきたのには単なる「崖っぷち芸能人」というだけの話ではない。そこに吉田栄作がいることが重要なのである。かつて吉田栄作森脇健児は「ギャッツビー」という男性用の化粧品のCMをやっていたのである。

「♪(二人)ギャッツビーつっけて〜 カッコつっけて〜
 (森脇)栄ちゃんにシュッ! (栄作)健ちゃんにシュッ! (二人)シュッシュッシュッ〜」

文字に書き起こすとCMのバカさ加減が損なわれるどころか、よりいっそうアホくさく見えるが、字面で受け取る印象ほどにアホくさいCMであることは記憶に残っている人であればお分かりだろう。

でまあ、森脇が「京都の町屋に劇場を作りたい」というプレゼンを開始したのだが、その肝心のプレゼンがあまりにもヌルくてノーマネーでフィニッシュ。社長たちも森脇の企画の適当さを早々に感じ取ったらしくて、あまり本気にしてなかったご様子。森脇は森脇で泣き始めるし、正直プレゼンの中身はゴールデン時代よりもグダグダ。ただ、過剰な演出がなくなったのだけは評価できる。

で、来週も芸能人がプレゼンするらしいのだが、今度こそマジメな企画で頼むよ。番組の方向性はまた元に戻ったんだから、ここからが正念場ではなかろうか。いや、吉田栄作森脇健児の芸能生活のことじゃなくて。


・SASUKE秋
あんだけ煽っておいて、サスケオールスターズと呼ばれる人たちがファイナルまでいけないのは切ないものがあるな。最悪だったのがSASUKEバカ一代の山田勝巳氏が第2ステージで手袋はずさないで失格。これ面白すぎ。本人にとっては痛すぎるほど痛恨のミスなのだが、(いろんな角度から見ている)こっちにしてみれば、爆笑のスイッチオンであった。そういや、完璧にお笑い芸人枠としては「おさる」から「なかやまきんに君」に移動したらしい。