公平感を装う不公平の横行

今回も特番の話を、ひとつ。

TBSの「オールスター大感謝祭」を見た。半年に一度(春と秋)の番組改変の時期に組まれる特番で、島田紳助島崎和歌子が司会であり、本当は “オール”スターではないし、なぜかPS2でゲームが発売されたりというのでおなじみの同番組である。

さて、この番組ではクイズを中心に様々な企画が用意されているが、その中でも特に有名なのは「赤坂5丁目ミニマラソン」である。TBSの周りを走るミニマラソンなのだが、出演者がその実力に応じてハンデをもらい、誰が優勝するかを当てるコーナーだ。近年はシドニー五輪で銀メダルを獲得したリディア・シモンが参加したりと、無駄に豪華になっている。

で、このコーナーでは優勝者に50万(30万だったかも)の賞金が出る。たかだか芸能人のマラソン大会で優勝するだけで50万も貰えるというのは非常においしい仕事であろう。もちろん体力に自信がなければ優勝はできないし、あったとしても実力が認められればハンデが伴うので、なかなか実力だけでは優勝できないという部分もある。だが、それにしても体力ひとつで50万が稼げるのはおいしい仕事には変わりない。

ラソンに出場する芸能人はスタンバイがあるから、その間に行われるクイズには参加できない。だからマラソンに参加した芸能人は「クイズの総合成績で優勝」という目的からは離脱してしまうのである。正解数を競うのだけれども、単純に出題量が違えば当然に正解数も変わる。

しかし、これが今回から改善され、マラソンの優勝者にはマラソンの優勝賞金と同時にその成績に応じてポイントがつくようになった。確か優勝者は「クイズ正解数10ポイント」もらえたはずである。

一見、「マラソンに走っている間クイズに参加できないのだから、このようなポイントがあっても構わない」という意見でもって、何の不平等さも感じないかもしれない。しかし、自分はこの制度、非常に不満である。なぜなら、この制度は公平を装った不公平であるからだ。

よく考えてみてほしい。確かにクイズには参加できないかもしれないが、マラソンでもし優勝すれば賞金が出るのである。つまり、「賞金を手にするチャンス」をその「参加できない時間」で手にしているのである。ちっとも不公平ではない。逆に、マラソンに参加していない人物はその賞金獲得のチャンスを放棄して、「クイズで優勝して賞金を獲得する」という手段をとっているだけのことである。しかし、マラソンで走ることでポイントがつくのであれば、マラソンに出てなおかつクイズ争いにも残るという両方の可能性があるわけだ。これは「結果において平等かもしれないが、機会においては不平等」の典型例に他ならない。

当然マラソンに出て走ってみようという芸能人は、ウケ狙いなどを除けば、やはりある程度体力に自信がある人間になってくる。で、そういう人間が自分の特性を生かしてチャレンジ(そして番組として盛り上がる)するのは少しも悪いことではない。しかしそのような「ある程度体力に自信のある人間」がこの番組において優遇される(という形になる)のはやはり「なんだかなぁ」と思う次第である。

今はバカな学校が徒競走で順位をつけないようなところもあるようだが、それは「結果において平等」しか考えてないからそうなるのである。少なくとも徒競走は「機会(スタートライン)においては平等」なのだから、その先に生まれる順位が不平等であっても、それにケチをつけるのはおかしいのである。だって、それが資本主義の原則だし。結果においての平等を重視するのは、なんてことはない社会主義である。

だから、この「マラソンにクイズのポイント制」というのは、ただの「体力自慢優遇不平等」である。そんなのは同局で放送される(あ、今日だな)「SASUKE」で勝手にやればいいのだ。何もTBS全体で体力自慢を優遇していいなんてことは、ちっともない。

(追記:さすがにこの制度は不評だったのか、以降このポイント制度は行われていない(はず)。そりゃそうだわな)

以下雑記
広末涼子、早稲田休学か
正直な話、あの年に早稲田の教育学部を受けた人物全員に失礼な話である。まあ、本人が世間の「やっぱりな」に耐えられる覚悟があるなら、それはそれで立派。それにしても今朝の「やじうまプラス」でこの件について激しく怒っていたオッサンが何か広末に恨みでもあったんだろうか。所詮は他人事だろ。

チェッカーズ、ブーム再燃?
先日ネタにした高杢に続いて、ドラマーだったクロベエ氏が舌ガンを告白。これでは鶴久も無理矢理ガンを捏造しなきゃならないじゃないか。

・原監督辞任。徳光号泣。
日曜朝の「ザ・サンデー」においてこの様子が放送。あまりに面白くて死にそうだった。泣きすぎ。

・「踊る大捜査線THE MOVIE2」海外進出も
テレビや一連の流れを知らない人が見てもつまらない映画だと思うのだが。以前松本人志が氏の連載「シネマ坊主」で1のほうを批判した文章を読んだのだが、やっぱりそういう感じだったし。あの映画の面白さは、単発ではわからないだろう。2だけを海外に持っていったところで評価されるとは到底思えない。

今日はこのへんで。