バカ騒ぎ

くりぃむナントカ」の企画「上田がバカならバカ騒ぎ」が死ぬほど面白かった。


うんちく王上田に対して名前の由来の2択問題を出題。2択のうち間違った由来のほうは出題する芸人が考え出したもの。見事上田が間違えば、上田がバカということでバカ騒ぎをするといういたってシンプルな企画。シンプルだが凄い。


この企画の何が凄いかといえば、企画を練る段階で「上田がバカならバカ騒ぎ」という言葉が言いたかっただけじゃないのかというところから始まるのだけど、その言いたかっただけの中身を実行するにあたり、その出来が言いたかった内容以上にバカであるということ。上田が2択問題を間違ったことを全力で喜ぶというのはアンチ巨人のような感覚があってスッキリする、という解釈も出来なくはないが、そう考えるよりも「バカだからバカ騒ぎ」というしょうもない命題を実行するのに作り出したシチュエーションがまたバカであるという解釈を自分は採りたい。


先日報道されたように、「くりぃむナントカ」はゴールデンに移動する。テレ朝11時台のバラエティは悉くゴールデンに移動し、そして苦戦し、マイナーチェンジを繰り返し、そして討ち死にする。ゴールデンに移動することで深夜時代のノリや内容が変わってしまい、結局ダメになってしまうという批判をよく聞くが、自分は番組の賞味期限そのものがゴールデンに行くことによって必ずしも短くなるとは思わず、単に番組そのものの賞味期限がゴールデンに行くタイミングで切れたのでは?というものもなくはない。ただまあ、テレ朝のゴールデンに進出する深夜のバラエティ群はこの批評が悲しいまでに当たっている。


当然に「くりぃむナントカ」もゴールデンに行くことで変質してしまい、すぐ番組が終わってしまうのではないかという危惧はある。しかも水曜19時という裏番組が強力な枠(「ヘキサゴン」「笑ってコラえて」)への移動であり、思うように数字が伸びないだろうことは今から容易に想像がつく。そしてテコ入れがはかられ結局は跡形も無い形で終わっていくのだろう。


ゴールデンに移動することを我々視聴者が止めることはできない。だからその事実は事実として受け止め、あとはゴールデンでどう散っていくのかを見守るしかないわけだが、だからといって単に悲観的にゴールデン進出を嘆いても仕方がない。今回の「上田がバカならバカ騒ぎ」は我々視聴者にそう言っているような気がした。今のうちにバカなことやれるだけやってしまえ、と。


上田がバカならバカ騒ぎ。この文章を考え出した人間はそれだけでも凄いと思うが、この文章を企画として実行に移した人間は紛れも無く天才であると。そしてこの天才がゴールデンに行っても活躍出来ることを願う。