かもしれないヒロスエ2023

「あー、不倫してえなあ、結婚してねえけど」という挨拶でお馴染み、ハトヤです。まあ結婚してなくても相手方が人妻なら不倫はできるんですけども、細かいことはいいんです。

 

なんだかんだ仕事が忙しくて、たまの休みはゆっくり身体でも休めていればいいのに、ついうっかりHDDの整理とかしたくなるんですよね。録画は放っておくと勝手に溜まっていく仕様ですから。

 

すると自分のようなうっかりさんは、つい「かもしれない女優たち2016」とか見つけてしまうわけですよ。タイトルから分かる通り、2016年放送。つまりは7年HDDに寝かしていたものですね。

 

なんで今これを見る気になったのか。「ブラッシュアップライフ」で脚本家としての地位が5ランクくらいあがったバカリズムが手掛けた作品であるから、という理由がないわけではないけど、そりゃもうひとえに「広末涼子が主演のひとり」という理由に決まっている。見るなら今しかねえ、と田中邦衛ばりに叫びましたよ。

 

そんでもって見た。バカリズムの脚本の巧みさは既に(というか脚本家になったときから)出来上がっていた。広末涼子井川遥斉藤由貴という3人の女優が売れていないという別の世界線を生きる「かもしれない」を描きながら、ストーリーを見事に収斂させていく手腕は、素直に見ていて面白い。

 

広末涼子は「ビーチボーイズに出演しなかったことで、売れ損ねた女優」であり、30代(2016当時)独身という設定。女優として売れていなくても早々に結婚はしてたんじゃねえか、とか思ってしまうけども、それはどうでもいい。物語の最後には井川遥の結婚相手になる藤木直人(という名前の俳優ではない社長)と二股をかけているんじゃないか疑惑が持ち上がる(不倫じゃない)あたりも、2023泣かせである。

 

最終的に広末は「こんまり」こと近藤麻理恵よろしくお掃除コンサルタントになる未来が描かれる。シェフと不倫する未来ではなかった。どうせならドラマ内で不倫していて謎にバカリズムが持ち上げられるという現象が起きてげんなりしてみたかったが、そうはうまくいかない。まあ広末涼子という人間は根っからのアイドルであり女優であり、そして不倫しちゃう人というのは、ターニングポイントを間違ったところで揺るがないとは思うのだが。

 

それよりも7年越しに見てしまったもんだから、余計なところが気になって。ひとつは竹内結子が健在だったこと。これが一番泣けてくる。竹内結子は「かもしれない女優たち」の1作目の主演。今回もゲスト出演という形で登場していたのだが、本当に惜しい女優を失くしてしまったのだなあという感慨。

 

そしてふたつめは「バカリズム夏帆愛」である。「架空OL日記」「ブラッシュアップライフ」と、バカリズム脚本の「何気ない会話の何気ない風景」を体現する存在として、絶対的信頼を置かれている夏帆。「かもしれない女優たち2016」では、斉藤由貴の(「かもしれない」の世界で経営している)バーの常連である夏帆本人として登場。ここでも見せるのはバーのオーナー斎藤と客の夏帆が見せる「何気ない会話」だった。時系列としては「かもしれない女優たち2016」「架空OL日記」「ブラッシュアップライフ」の順番なのだが、もしかしたらこのドラマが後のドラマにつながってくるのか。それとも単なるバカリズムの好みなのか。まあどっちでもいいんだが。

 

3つめは斉藤由貴の存在。不倫報道では広末に比肩するどころかその上を行く斉藤由貴。このドラマが放送された翌年に自身3度目の不倫報道がなされ、それを認めるもやっぱりちゃんと生き残っているのが斉藤由貴。「あの時不倫報道がなければ…」の「かもしれない」もどこ吹く風の存在だ。もしかしたら広末はこの時斉藤由貴に不倫の薫陶を受けていたのかもしれない。自分で書いておいてなんだが、不倫の薫陶てなんだよ。

 

HDDに寝かせたドラマは思わぬ気づきをもたらすことがある。最近TVerが便利すぎてドラマを寝かせることを極力しないようにしてきたけども、やっぱりここぞというドラマ(に限らず全ての面白そうな番組)はちゃんと自前で確保しておかなきゃいけないと思いましたとさ。

 

そうだ、HDD整理するなら「世にも」見なきゃ。つづく。