記憶にない人

世にも奇妙な物語」23夏の特別編の感想を。これは義務です。誰にも課されてませんが。

 

お姫様クラブ

鈴木保奈美主演。かつては裕福だったものの、今は結婚して家計をやりくるするパート主婦の主人公(鈴木)。そこに小さい頃所属していた「メンバーは皆お姫様扱いされる」というお姫様クラブの主催者が訪れ、主人公の娘をクラブに勧誘する。誘われた娘よりも、当時の思い出が忘れられず張り切る主人公だったが、自分が姫様扱いではないこと、そして娘がクラブを気に入らなかったこと、さらには舞踏会の音楽を聴くたびに記憶がフラッシュバックしてきて、どんな場所でも踊りだすようになる主人公。この症状を止めるべくクラブの主催者に「大人向けの会はないのか」と相談するも、「2000万円必要だ」と言われる。その金額の大きさや、自分のことを慕う娘のこともあり、諦める決心がつくも、その翌日夫が心臓の発作を起こす。薬を飲ませれば助かったはずだが、夫に2000万円の保険金がかかっており、そのまま放置して夫は亡くなる。その保険金で主人公は念願のお姫様扱いをされるのだった。

 

今回唯一の原作あり。平凡な日常から逸脱していき、そしてその逸脱を保つために主人公自身が逸脱していくという「世にも」の王道。原作はホラー漫画だそうで、さすがによく出来ているなあと思います。

 

ちなみに娘役は新津ちせだったのだけど、毎回毎回「この娘はどこかで見たことがあるなあ」と思い、分からず、クレジットを見て「ああ新海誠の娘のパプリカ」って思うところまでが1セットです。栗原類はすぐ分かるのになあ。

 

小林家ワンダーランド

中川大志主演。昔は仲が良かったはずなのに、会話もなくなった家族のことを悲しく思う主人公(中川)。そんな中父親から重大な話があると言われ、それは会社をクビになった父が自宅をテーマパークにするという提案。半信半疑でオープンするも大盛況に驚く。しかし近所にもっと豪勢な自宅テーマパークが出現するとともに、人気に陰りが出始める。リニューアルをするも効果なし。最後に取った手段は、完全ネタバレなしで主人公をチェーンソーで切り刻むという「ホラー系アトラクション」だった。

 

今回の1位。バカ系と思わせておいて最後に急角度でホラー系に落とし込むやり方は見事。ちゃんと伏線張ってたし。今回も女の先輩役の名前が途中まで思い出せなくて、「あれだよ、グラビアの、篠原じゃなくて、えーと、篠田じゃなくて、そうだ、篠崎愛!」で勝利宣言。決して篠崎愛の乳がしぼんでいなかったことに対してではない。

 

視線

池田エライザ主演。出来の良い姉を事故で亡くしたことが原因で、母親にちゃんと顔を見てもらえないことに苦しむ主人公(池田)。ある日目薬を点すと周囲の人の視線が全て自分に向くようになる。恐怖におびえるも、視線を外した男から「それは目薬のせいであり、3時間しか効果が持たない。そして見られているように錯覚しているだけ」という情報を聞く。そして男に「他人から見られていることは幸せだ」という話を聞き、母親と会う時に目薬を点し、顔を見てくれなかった母親がこちらを見ているように錯覚することで、少しづつ笑顔を取り戻す主人公。ある日母親と食事をしている最中に目薬の効果が切れる。慌てて目薬を点そうと思うが、容器が壊れ中身は空に。恐る恐る母親を見るも母親はちゃんと主人公のほうを見て話をしていた。母親は母親で主人公を見て会話することが怖かったものの、目薬の効果で笑顔で会話をする娘を見て、自分もそのようにしようと踏ん切りがついてのことだった。後日目薬なしで歩く主人公が一斉に視線を集める事態に。それは目薬の切れた男が主人公をナイフで切りつけようとしている事件現場だった。

 

最初の「ホラーか?」から目薬の仕組みが分かり、そして母親との和解の感動系で着地すればいいものを、最後にまた目薬の仕組みを教えてくれた男が出てきて、そして池田エライザが最後に視線をこちら(視聴者)に向ける、というのは完全に蛇足じゃなかったか。オチがもうちょっとうまく着地すれば佳作だったのになあ。目薬の仕組みを教えてくれた男は「シガテラ」の主人公を演じている醍醐虎汰朗だってことにはさすがに分かった。

 

西畑大吾主演。中古カメラを購入し、虹を撮影しようとカメラを覗いていると、制服姿の少女が見えるも、そこには誰もいない。カメラを覗きながらその少女が進む方向についていくと、そこには少女にそっくりの女性が。その女性はカメラに写っていた少女の姉であり、カメラの中の少女はそこで亡くなっていた。二人はやがて結ばれ、長い時間が流れる。妻となったその女性も亡くなり、主人公はまた独りに。ある虹の日にカメラのファインダーを覗くと、そこにはまた在りし日の少女の姿が映っていた。

 

……というストーリーだったと思うのだが、途中退屈すぎて半分意識が飛んでいたので正しいかどうか分からない。自分の中ではこんな話だったということにしておきます。さすがに奥田暎二くらい分かるよバカヤロー!(「らんまん」も出てたしな)

 

 

原作ありきではなくオリジナル3本持ってきたことは評価していいやつです。あとストーリーテラーパートにあのちゃん出てきたのもよかったですね。「世にも」の住人つう感じしますから。なんならタモリ引退後の2代目ストーリーテラーはあのちゃんでもいい。いやそれは言い過ぎだな。でも中途半端な役者がやるならあのちゃんのほうがいいや。というわけでまた次の世にもで。