・乙男(オトメン)〜夏〜
岡田将生・夏帆主演のドラマ。漫画原作のドラマで土曜23時の放送だが、10月からは「乙男〜秋〜」として火曜21時に移動予定。ドラマが放送中に枠移動するのは初らしい。
岡田将生といえば「量産型ダルビッシュ」ともいうべきルックスの俳優。本来ならば「ダルビッシュは岡田将生に似ている」と言いたいところだが、知名度もイケメン具合もダルビッシュのほうが上なので「量産型ダルビッシュ」と呼ぶしかない。そのせいか知らんが、ドラマ冒頭で出てきた剣道の試合の対戦相手が皆日ハムの選手の名前(林、森本、糸井、稲葉、小谷野)だった。
そして夏帆といえば「ずっと調子のいいの紙ちゃん」としてお馴染み(ここのサイトでのみ)。一時期の半端ない美少女っぷりは落ち着いてきたものの、それでもこの系統の顔では最上位に位置する見目麗しい女優さんであります。
そんな二人は過去に映画「天然コケッコー」で共演しており、もはや気心の知れた仲。もはやデキていても不思議ではない。ていうかこの二人ならデキていても許してしまおうくらいな鷹揚な心持であります。そんなことはどうでもいい。
しかしもっとどうでもいいのはこのドラマの出来。1話を見ただけでは人間関係がよく分からず、かといてストーリーに複雑さがあるのかといえばそうでもなく、「飛鳥(岡田)が乙男でりょう(夏帆)が強い女性」ということを引っ張るだけ引っ張って説明したに過ぎない。しかしそんなものはドラマのCMやら何やらを見ていれば分かることであり、わざわざ1話として引っ張るまでもない話。そんなにやることがないくらい元々の中身が薄っぺらい話なのだろうか。
仮に中身が薄っぺらでなくとも、ドラマ全体は充分に薄っぺらい。その最大の理由は芸人が大挙として出演していること。一応メインキャストに絡んでいる柳原可奈子、ハライチ、ザ・ゴールデンゴールデンあたりまではまだ許容範囲かもしれないが(もっとも彼らがメインキャストに絡んでくること自体が薄っぺらいけども)、その他エキストラのように出演している芸人たちや、アントキの猪木の起用法など、全体的に上滑りの感がある。
「こち亀」が「ドラマの予算で作ったコント」ならば、こちらは「コントの予算で作ったドラマ」である。金がないけどドラマ作ることになったから、たくさん起用しても安上がりで済む芸人使っちゃえ、と。ついでに芸人たちにコントっぽいこともやらせておこう、と。そんな感じ。両ドラマは同じベクトルを指しているように見えるが、その実は正反対のものじゃなかろうか。
まあこのドラマのメインターゲット層である10代(原作のファン層含む)には、レッドカーペットに出演している芸人が登場してコントっぽいことしているのがウケるのかもしれない。一方で「こち亀」みたいなのには全く笑わないのかもしれないし。そうなるともう「感覚の差」としか言い様はないが。夏帆に「リハウス」言わせちゃうのは面白いのかなあ。どうなんだろうなあ。*1
ひとつだけ抜群に面白かったのは鶴見辰吾の扱い。主人公の父親でニューハーフ、そして少女漫画界のカリスマ城之内ミラ。このサイトでも何度か書いたことがあると思うが、鶴見辰吾といえばかつて「オーラの泉」で江原・美輪という「オーラの方々」と妙にウマが合っていて、この人も「オーラな人」(意味はお察しください)じゃないかと疑ったことがある。それが今回着物を着てニューハーフだなんて、思いっきり「オーラ」全開なもんだから笑うしかなかった。ドラマのスタッフがわざとキャスティングしたんじゃねえかと思うくらい。
ここが抜群に印象に残ったくらいで、ドラマそのものの見所といえばエンディングで夏帆が殺陣を華麗に決めているくらいなもの。エンディングが最大の見所というのも悲しいが、実際そうなのだから仕方ない。
10代の若者であるか、原作及び出演者のファンである人くらいにしかオススメは出来ないです。出演している役者は下手じゃないので、芸人の出番が減れば減るほど見れるようにはなっていくかもしれません。まあ期待薄ってことで。