本来の姿

IQヴィーナス〜天才JK日本一決定戦〜

テレ東の深夜に放送された番組。タイトルの通り賢い女子高生が「IQヴィーナス」の称号をかけて争う。


同時間帯に強豪ひしめく中録画を勝ち取ったこの番組でしたが、いやあこれが久々に見たダメな方向の「テレ東クオリティ」で良かったです。


まず司会が京大卒ロザン宇治原と東大卒田畑藤本の藤本。高学歴芸人を並べることで「凄いぞ感」を出そうとしているのだけど、いかんせん藤本が殆ど喋らない(というある意味ファインプレー)。もちろん司会がでしゃばるような部分はないものの、置物状態過ぎて。ゲストで座っていた(けど途中から消えた)ハーバード大卒のパックン司会で良かったんじゃないのか。


解答者の女子高生は女子高生棋士の竹俣紅を筆頭に「(ある程度)賢くて(ある程度)可愛い」という基準にしちゃったもんだから、これが両方において中途半端。そんなに勉強できなくてもいいからめちゃカワいいとか、ビジュアルは「もう勉強できないとダメじゃん」と誰もが口を揃えるけども圧倒的とか、どちらかに振り切れたほうがこういう場合は面白い。けど「番組として成立させること」を優先させちゃったんだろうなあ。「突出した一芸がある美人」竹俣紅までは客寄せの意味で良かったんだけど、他の解答者はもっとパンチの利いた女子高生のほうがよかったのに。


ただこの番組は意図的か何も考えてなかったのか知らないけども意欲的ではあった。高校生レベルの問題を素直に出す。しかも理系の問題も素直に出す。以前自分は「理系の出番はない」というタイトルで、クイズ番組における理系の不遇を書いたことがあったが、この番組はなんのその。平気で理系の問題を「何の解説もなしに」ぶち込んでくる。


おそらく「難しい学校のお勉強も正解しますよ」というのを見せたかったのだと思う。解答者の中には数学オリンピック優勝者も含まれていたので(この番組も優勝しました)、見せ場を作るという意味でも必要だったのだろう。


ただ、以前書いた文章で指摘したことではあるんだけど、やっぱり理系の(やや)難問は視聴者はついてこないのです。実際に出題された対数の問題(logを使う計算)なんか、高校数学やってる人間からしたら大した難しい問題でもないのですが、そうでない人はかつて高校で習っている人にしたって「ん?」となるわな。しかもこの問題、答えだけで解説一切なし。もちろん解説したところで視聴者が分からなければ意味ないんだけども、かといって「どうしてそうなるか」抜きで答えだけなのはやっぱり不親切。文系の問題のように「そうだから」では納得のいかない部分だろうよ。


決勝の「Z会からの挑戦状」にしても、最終的に測っているのはIQじゃなくて偏差値じゃないっすか。そこは別に構わないんだけど、だったら「頭いい女子高生決定戦」でいいじゃない。そもそもIQの意味すらはき違えてしまっているんじゃねえ、と思う。*1


こういう「いかにもテレ東」と言っては怒られるんだろうけど、大した予算もなく、そして(クイズ)番組として企画の練りこみが不十分なものを見ると「Qさま」という番組がいかにフォーマットに優れていて、出題としても練りこまれているかがよく分かる。ダテに長年やってない。最近のテレ東が優秀だっただけにちょっと勘違いを起こしそうだったが、本来の姿がこっちだということを再確認だ。


あと最後にどうしても言っておきたいんだけど、そんなに出題のレベルは高くない。もっと頭のいい女子高生はたくさんいると結ばざるを得ない。「テレビに耐えうる」という条件はかくも難しい。

*1:IQと名付けたのはMENSAのメンバーがいたからなのかも知れんが、それにしても