解放感が裏目

「3匹のおっさん2」の初回。


昨年1月に放送されたドラマ「3匹のおっさん」の続編。有川浩原作の小説をテレ東が北大路欣也主演でドラマ化したところ、これが思いのほかヒット。テレ東ドラマとしては異例の平均視聴率10%超えという快挙を達成。この度晴れて第2シーズンが放送されることに。


初回は鈴木福谷花音という人気子役が登場し、なおかつテレ東の「地の利」を生かし妖怪ウォッチが「これでもか!」というくらいにガンガン登場。このドラマは案外子どもに見られているというデータがあったようで、初回から子どもを掴んで離さない貪欲な構成になっていた。ただまあそれでも前作からのエッセンスは上手い具合に引き継ぎ、安心して見られる内容。


時間軸は前作からの1年後。おっさん3人にとっての1年は「変化なし」のレベルではあるが、キヨ(北大路)の孫である祐希(大野拓朗)、そしてノリ(志賀廣太郎)の娘である早苗(三根梓)がそれぞれ大学生になっている。以前ここで触れたのだが、大野拓郎は26歳(当時25)、三根梓は23歳(当時22)であり、とてもではないが高校生という年齢ではなかった(特に大野)。だからドラマ内で学生服を着てはいるものの、完全にコスプレ感満載で違和感ありまくりだったものの、「高校生という記号があればいいので、老人からすれば特に違和感なし」という結論に落ち着いた。


とはいえ演じているほうは「コスプレ感が半端ない」ことは絶対に気付いているわけで、それなりに「どうにか高校生に見えてくれ!」と気を使って演じていたはずだ。緊張感があったといっても過言じゃないだろう。無理難題を無理している頑張っているという気負いが画面越しに伝わってきたのがいい。


しかし今回はどうだ。大学生になったということは、学生服ではない。私服である。そして大学生なのだから年齢の幅もある程度は問題ない。無論大野の実年齢26歳で大学生でも特に違和感はない。だからなのか、今回の大野と三根からは全然画面越しに緊張感が伝わってこないのだ。


気を抜いているわけではないのだろう。けど、今度は「今回は学生服ではない」という解放感が画面越しにヒシヒシと伝わってくる。前回の「無理して高校生」は過剰に高校生っぽい感じを演じていたので高校生に見えたのだけど、今回は逆にリラックスしすぎて二人とも実年齢相応に見える。実際は1年しか経っていないのだからまだ初々しい大学生のはずなのに、大学生の初々しさが皆無。そこで油断しちゃあいかん。


今作での二人は「いつ初キスすんのか」という話になってくるんだろうが、そこそこいい年の二人が実年齢でそういう話をしているように見えてしまい、ちょっとまた滑稽。だからこそもうちょっと嘘くさくてもいいから大学1年生を演じてほしかったなあ、とは思う。もう撮影終わってしまったから望むべくもないんだけど。


まあ、なんだかんだ言いながら見てしまうわな。