名言あるある早く言いたい

世界は言葉でできている」のゴールデン初回を。


古今東西の偉人たちの名言を穴抜きにして、それを「コトバスター」と呼ばれるパネラーが穴埋めをすることで偉人の遺した言葉を超えられるかどうかを競うゲーム。面白いのは偉人の言葉もその競争に加え、最終的に偉人超えをしたパネラーの得点(会場の投票数)が倍付けされること。単純に得票数で争うのと同時に、偉人を超えるような名言にはそのぶんボーナスが与えられるということ。これはルールとして秀逸。


深夜にやってるときもたまに見かけることはあったんだけど、本格的に腰を据えて(というか録画して)見るのは今回が初。今更な感もあるけど、けっこう面白かった。


何が面白いのかといえば、これが「名言による大喜利」であること。コトバスター達が出す名言そのものはそんなに興味がないが、その名言の繰り出し方はまさに大喜利。この構図が面白い。


「ハイパー名言クリエイター」とは今回オードリーの若林に与えられた肩書であるが、この番組で圧倒的な強さを誇るのが若林。その他今回決勝に残ったのはバナナマンの設楽、ピースの又吉、そしてスカパラ谷中敦。こんな風に書いたら谷中がお笑い芸人のようだが、谷中は東京スカパラダイスオーケストラの人です。芸人ではありません。ただ、この決勝に残ったメンツは4人中3人がお笑い芸人。これが何を意味するのか、というのは考えるまでもない。この番組の特性が「お笑い芸人に向いている」ということ。つまりは「大喜利」を主戦場にしている芸人に圧倒的有利ということだ。だって名言大喜利なんだもん。


大喜利は面白いことを言えばよい。この番組は「他人が感心しつつ共感すること」を言えばよい。着地点は違うが、方法論は同じだ。自分の答えが評価を得るためにはどんな答えを出せばよいのか。もちろん彼らは「自分が名言だと思うこと」を発表してはいるんし、そもそもの地肩も強いはずなんだが、それ以上に自分の表現したいことが他人に受け入れられるためにはどんな風にすればいいのか、という術を知っている。単にいい事を言うのではなく、それを相手に共感しやすく、分かり易くする技術がある。そんなもん強いに決まっている。


この番組を見ると「実は芸人のほうが頭が良かったり名言を生んだりできる」と思われるかもしれない。もちろんそれが100%間違いだとも思わないけども、結局は「大喜利力」の差でしかないと自分は思う。今回小出恵介が偉人と全く同じ内容の名言を作ったにも関わらず、偉人を超えることが出来なかった。それはひとえに表現力の差であり、もっと言えば「大喜利力」の差だと言えるかもしれない。偉人もある意味「大喜利力」を持った人間ではあるので。


ここからは自分のどうでもいい夢想ではあるんだが、これが本家大喜利でやってみたらどうなるんだ、と考えるとちょっと面白い。たとえばかつて松本人志大喜利で出題されたお題と答えがあり、松本がどう答えたかがいわゆる「偉人の答え」。それを超えるべく芸人が大喜利の答えを考えるわけで、最終的に松本の答えを超えられたら「偉人超え」ですよね。天才天才と紹介された松本の答えがスベったりするんだろうなあと思うといろんな意味でドキドキする。松本も松本で「ハードル上がりすぎ」って言い訳するくらいにして。


おふざけなしの名言大喜利でもやっぱり芸人は強い。ただ一人名言大喜利とふつうの大喜利の区別を誤ったビビる大木の「男性は猪木を求める。女性は藤波を求める。」というのが、この番組の何たるかを物語っていたと自分は思う。