上がる金額、下がる好感度

・逃走中
不定期で放送される「賞金つき鬼ごっこ」。


番組が始まってから結構経ったのでルールもかなり整備されてきた。ずっと一か所に隠れて逃げ切ることも出来なくなったし、番組の見所を作るミッションもこなれてきた感じ。特に中盤の「賞金リセット」ミッションは上手く出来ている。


積極的に参加しなくてもいいが、誰かがリスクを引き受けなければ今まで積み立てた賞金がゼロになる。ここらへんのバランスの調節が絶妙。上手い具合に参加しない人間と参加する人間が出てくるのも面白い。しかも今回は結果的にミッション失敗で賞金積み立てがゼロになった。


自分の賞金のためには他人を蹴落としてでも逃げ切るべき。このゲームの基本である。もしこれが小説のように他人の目を気にすることのない純粋なゲームであればそれで構わないのだが、このゲームは「そういう番組」であるから、他人を蹴落としたり卑怯な手を使ったりすることで賞金は加算されていくが、その一方で芸能人に不可欠の好感度が下がっていくことを計算しなければならない。


例えば武蔵なんてのは非常に分かりやすかった。そりゃ賞金が欲しいのかもしれないが、本職が格闘家なわけで本来なら勇猛果敢にミッションに取り組むべき。しかしあろうことにチキンっぷりを全開にして逃げ回っていた。賞金は積み立てられるが、彼の格闘家としての信頼は1秒毎に失墜していくことに気付いていない。まあ元々武蔵の格闘スタイルもそんな感じではあるけども。ミッションに参加せず逃げ回っていた浜田ブリトニーにも同じことが言えるが、「ホームレス漫画家」という肩書きの場合はさほど問題がないのだ。この違いに武蔵が気付いているかは怪しい。


一方で「危険に遭遇するのは怖いが、好感度を下げたくない」という理由でミッションに参加しようとした板東英二は正しい。結果役には立たなかったしハンターに確保されたので賞金は入手できなかったが、武蔵と同じく賞金が入手できなくても「好感度」は残る。この賞金ゲームが賞金だけでなく好感度を左右する番組だということにちゃんと意識が回っているのはさすが。


そして何より凄かったのが、全てのミッションに積極的に参加という攻めの姿勢を見せつつ、最終的に逃げ切り賞金まで手に入れた国生さゆり。電話でオロオロする本村健太郎に「弁護士なんだからちゃんと説明する」と冷静に指示したり、約束と違う行動をしてミッションを失敗させた田中圭に対してこれまた電話で文句を言ってみたりと見せ場に事欠かない。ハンターに確保されても番組として賞金以上の大活躍をしていたうえに賞金まで獲得。見事としか言いようがない。


目先の賞金だけを追いかけると、キャラにもよるけど芸能人にとって長期的に金になる好感度が下がっていく。自分には画面上に1秒毎に増えていく金額とともに1秒毎に下がっていく好感度の表示も見えたような気がした。