誠実さが無意味に

「たけしの日本教育白書2008」にて、2ちゃんねる爆笑問題太田を脅迫したとして逮捕されたパンツ氏がメールにて太田に謝罪。


「直接対決」と煽っていたので、てっきり直接スタジオに登場すると思っていたのだけど、生メールという一番ごまかしがきく形に収まってしまった。しかもその謝罪の言い訳が「『死ねと書くな』と芸人の太田が煽ったということは、これは「死ね」と書くことが笑いに繋がると思った」というもの。


明らかな詭弁だ。太田は「一定の理解は出来る」とは言ったけど、たけしに「ユーモアのセンスがない」と一刀両断されていた。そりゃあそうだろ。田代の「ミニにタコ」と同じレベルで本人だって本当にこんなこと思ってないだろ。かといって「ふざけ半分でやったら本当に捕まって俺涙目」なんて書いたら番組にならないし。「ふざけ半分」という言葉を「冗談」に置き換えたのが精一杯か。


そもそもふざけ半分でやっており、ふざけ半分というより他ないことを無理やり「マジメ」のステージに引き上げて語ることが苦しいんだもの。明らかにエロ目的盗撮の言い逃れでしかない田代の「ミニにタコ」発言に、「駄洒落が面白くない」という批判は適切なのかと問われると「そういう問題じゃないよね」ってたぶんみんな言う。逆に考えて、あのダジャレが面白ければ笑って済まされたわけでもないだろう。それと同じ。


だからたけしの「ユーモアのセンスがない」発言は、「発想にユーモアのセンスがない」という点でその通りではあるけども、この問題に有効な回答ではない。「殺す」と書き込むことはそこにどんなユーモアがあろうとも脅迫でしかない。もちろん「殺す」と同じような意味でユーモアを発生させる必要があるとたけしも言いたかったのだろう。


ただ、たけしの批判が的外れどうこうのレベルではなく、不誠実な回答に対して誠実な回答を返そうとしても無駄でしかないという、ひとつ下のレベルでしかこの議論を戦わせることが出来なかったのが問題だ。


もし仮に本人が出てきたとしたなら、このメールの文面のようなあからさまな詭弁をヌケヌケと言い放つことが出来るんだろうか?もしかしたらこんな詭弁じゃなくて、きっぱりと「悪ふざけでしかなかった」と言ってるような気がするんだけど。生身の人間と話すってのは、きっとそういうことだと思うんだけどなあ。そしてそこから本当の議論になると思うんだが。


結果的にメールという「匿名」な形でしか議論に組み込めなかったことは、単純にフジ側の企画ミスだろう。こんなんだったら別に煽るほどのもんじゃない。そもそも本人かどうかも分からん。