CRAZY GONNA CRAZY

水曜日のダウンタウン」はなぜこんなにヤバさが振り切れているのか。

 

番組後半に放送された「鬼越トマホークドッキリ検証」が頭おかしい。鬼越トマホークのネタである「ケンカを仲裁した人が悪口を言われる」というくだりを、タレントに一般人であるマネージャーが行ったときに気づくのか、というもの。今回が検証3回目でファイナルとなったのだけども、そのラインナップが「長州力」「具志堅用高」と、現在のイメージこそ面白いオジサンであるが、元プロレスラーに元ボクシング世界チャンピオンという普通に考えればキレて激昂してもおかしくない人選。結果二人とも和やかに終わりはしたが、両者ともヒリつく場面はあった。

 

しかし本当に頭がおかしいのはここから。たけし軍団の中でも一番怖い(番組中でも「キレると本当にヤバいから」という理由でFRIDAY襲撃につれていかなかった話が紹介されていた)つまみ枝豆・現TAP社長が登場。芸能人はその武勇伝というか怖さを知っているので、VTRで紹介された瞬間にザワつき始める。これまたガチゲンカで話題となった「おぼん・こぼん」の時の比ではない。

 

そして枝豆はその期待に応えるかのごとく、分かりやすくキレる。ケンカを仲裁した後でマネージャーに言われた「たけしの話題じゃなくて自分の話題をしろ」という言葉に「殺すぞ」の一言。このご時世に「殺すぞ」が轟く番組はヤクザ映画と「水曜日のダウンタウン」だけだ。

 

つまみ枝豆にこの検証を仕掛けるだけでも頭がおかしいのに、これをちゃんと放送するところがやっぱり頭がおかしい。もちろん枝豆側がOKを出しているからこその放送ではある。OKが出ないと板東英二のようになるってのもこの番組が身を以て体験している。元々テレビ番組のコンプライアンスを攻めてきたたけし軍団としては、この放送にNGを出すなんてことは死んでも出来なかったと思うわけで、そこはやっぱり尊敬に値する。

 

しかも今回の放送で「殺す」が出てくるのは2回目なのだ。それは「芸人が今までで凄いと思ったコメント調査」で、バカリズムが同番組の企画で浜田が放った「殺すぞ」を挙げており、その映像が流れた。もちろんバカリズムは本当にこのコメントが凄いのだと思っただろうし、番組の紹介として特に違和感があったわけではない。しかし枝豆の検証を見て自分は思った。「あ、これは殺すを前もって中和したな」と。

 

枝豆の「殺す」だけでは、理由はあれどやっぱり強すぎる。しかしその前に番組MCである浜田の「殺す」が入っていれば、枝豆の「殺す」は浜田の「殺す」が前菜になって、若干エグみが消えるのではないか、と。いや自分で書いてみて「全然消えてないわ」とは思う。ただ、これが偶然バカリズムで「殺す」のコメントをツモったからこういう構成になったのか、それとも枝豆の「殺す」があったから中和の「殺す」を用意したのかは分からない。ただ、ここで「殺す」を揃えたのは確実に意図されたものだ。演出の藤井健太郎も自身のツイートでこう述べている。

 REDRUMは逆から読むと「MURDER」、殺人者の意味である(みんな大好き映画「シャイニング」からの引用ですね)。つまり今回の放送は「殺す」SPであったと宣言している。

 

いやね、分かるのよ。意図はとっても分かるけど、これが分かったところで自分が言えることは「あんたそりゃクレイジーよ」でしかない。

 

YouTuberは何かやったら白っぽい服で白バックで謝罪すれば許されると思っている。しかし「水曜日のダウンタウン」はこんなもん謝罪する気なんてさらさらないのです。なんならYouTuberのマネしてふざけて謝罪しかねない。世の中で面白いとされているYouTuberがどれだけ面白いのか自分は知らないが、何をどう考えても「水曜日のダウンタウン」より頭おかしいことやってる人たちはいないだろうな。今やテレビなんてネットに対して優位性がなくなった、だなんて言われるけども、こんなこと平気でやる、やれるんだからまだまだ優位性はある。

 

結局自分はテレビで何か衝撃があると、こうやって書いてしまうのだ。最近仕事のせいと称して更新をサボってはいたけど、結局テレビからの衝撃が足りてなかったのかなあ、と少し考えさせられた。いやまあ、歳食ってくるというのはこういうことなのかもしれませんけどね。