童貞の絆

流星の絆
東野圭吾原作の小説を二宮和也錦戸亮戸田恵梨香の3人が演じる。脚本は宮藤官九郎


原作未読につきあまり大きなことは言えないのだけども、ドラマだけを見るならば「まずまず」くらいの評価が妥当なのでは。主演3人の演技力はかなり安定しているし脇も手堅い役者で固めてあって、ここらへんの不安はない。クドカンらしく小気味よいテンポの会話(戸田恵梨香に「処女です」と言わせただけでクドカンが書いた甲斐があるというもの)に加え、コメディシーンとシリアスシーンの緩急のつけ方は抜群。


ただし詐欺のシーンはちょいとやりすぎか。しっかりとした原作があるため、クドカン「ならでは」の遊びをいれるとしたら本筋(=有明三兄妹の両親を殺したのは誰なのか?)には関係ない3兄妹の詐欺シーンしかない。しかしここで大きくぶっ飛んでしまうとシリアスなシーンにちゃんと戻ってこれないような気がしてならない。詐欺でハチャメチャやっておいてドラマはシリアスという大きなギャップがこのドラマの首を絞めることになる気がする。


詐欺そのものがこのドラマの主題ではないので、詐欺の部分にある程度ユルさがあるのは仕方ないとはいえ、「詐欺を行いつつも事件の核心に迫っていく」というベースの部分になっているのであれば、それなりに説得力のある詐欺を描かないとドラマそのものの説得力も格段に薄れてしまうのではないか。初回のような詐欺を今後も繰り返していくのだとしたら、視聴者は付いてこれないような気がする。自分だけだろうか。


余談であるが詐欺のシーンに登場したマンガ絵はマンガ家経験もある磯山プロデューサーの自筆だと思っていたが、調べてみたら違った(牧野あおいさんという方らしいです)。


期待を込めてということだろうが、初回視聴率が20%を超えたのは立派。しかし低空飛行が得意なクドカン作品とあってはどれだけ持ち堪えるか興味深い。東野圭吾原作のドラマ(「ガリレオ」「白夜行」など)は安定した数字を持っているのだが、どうなることやら。面白かったのは面白かったのだけど、予想以上に高く出た初回の数字と見え隠れする不安要素から、手放しに「オススメ!」とはならないこのドラマ。勿論押さえはするけど、過度の期待は禁物。