9条

・元祖!大食い王
ギャル曽根の三連覇がかかった女性限定戦。結果から言えばギャル曽根は準決勝で牛肉3グラムの差で敗退し、優勝したのは魔女こと菅原初代。1回戦から圧倒的な強さを見せて、完全優勝と言っても過言ではないだろう。しかし自分はどうも菅原さんの優勝に釈然としない部分がある。


それは「元祖!大食い王」が「早食いの禁止」を掲げているからだ。


大食いと早食いの線引きは難しい。そもそもどれだけのスピードで食べれば「早食い」なのかは誰にも分からない。また、大食いであるとはいえ、延々と食べさせ続けるわけにはいかないから制限時間を設ける。これは仕方ないというか当然のことだとは思う。ただ、制限時間があるがゆえに早食いがペースのイニシアチブを握り、また腹具合に余裕がある選手を負かせてしまうという「本当の意味での大食い」になっていないのがなんだかイヤなのだ。


もちろん制限時間アリというルールのもとやっているのだから、そういう駆け引きはあって然るべきなのかもしれない。ただ、やはり自分としては「早食いの禁止」を掲げているのに早食いが勝負を握っているというこの矛盾がどうも気に食わない。特に今回は誰もが「腹いっぱいで箸が止まる」という現象を見せておらず、先行逃げ切りの分だけ余計に食べて菅原が勝ちきった印象が強い。


当然菅原が早食いだけで大食いではない、なんて言うつもりはない。ただ、これが制限時間2時間で全員の箸が止まるまで延々と食べさせ続けたら、本当にギャル曽根は菅原に負けていたのか、という点で疑問が残るのだ。単にギャル曽根は食べるスピードが菅原よりは遅いだけ、つまり早食いで負けているだけで、「もう食べられない」まで競う大食いでは負けていないのでは、という印象。ギャル曽根に限らず、今回出場の選手に関してはみなそういうことが言える。何せ「もう限界」という底を見せていないのだから、誰が本当に一番喰うかは実は分からず終いである。


早食い禁止なのに早食いが勝負の鍵を握っている。あくまで「早食い禁止」は建前なのだろうか。軍隊を保持することが禁止なのに自衛隊という軍隊を保持している憲法9条と一緒なのだろうか。それでは「早食い禁止」は憲法同様改正されるべきか?自分はそうは思わない。早食い禁止の建前を取り除いてしまうと、「フードバトルクラブ」以前の「大食いはスポーツ」というしょうもない状態にまで戻ってしまう。それは問題がある。いや、早食いそのものはあってもいいんだけど、やはり大食いとは峻別すべきもののように思う。


同じ量を食べることが出来るならスピードがあるほうが有利。このルールは「大食い」においてはおかしい。あくまで純粋に食べた量(食べることの出来る量)だけで勝負できないものだろうか。以前は「スピードもひっくるめての大食い」だったから気にすることでもないのだが、今は「早食い禁止」の建前による大食いであるからこそ、どうか改善してほしい。一番簡単なのは制限時間の大幅延長。最初から90分勝負にしておけばいい。あるいは食べる量の上限を決めておく。とにかく、制限時間はあってもスピードが勝負の決め手にならないような措置が必要だろう。


あとどうでもいい話になるが、今回も正司さん33歳のキャラが抜群に立っていて笑わせてもらった。ハワイのビーチでの白いビキニ姿、準々決勝でギャル曽根に迫られたことの感想を求められたときの「別に」発言、そして準決勝のステーキ対決で最後の数秒で牛肉を無理やり口に詰め込んだ顔。伝説の女王赤阪が野獣藤田操との太巻き対決の時に見せた、太巻きを口いっぱいに頬張り鬼のようになったあの神懸りに面白い顔に比肩する面白さだった。テレ東はギャル曽根でもなく魔女菅原でもなく、正司さんで一本番組を作るべきだと思う。


いつのまにか大食いタレントになった「秘密のミオちゃん」こと高橋実桜は香港の大食い大会に出場していて収録日が重なったらしく今回は出場していない。彼女のカムバックも含め、ギャル曽根のリターンマッチで盛り上げてまた秋くらいに放送するんじゃないでしょうか。どうかそれまでにルールが改善されることを望む。たぶんしないだろうけど。