後ろめたいんだろ

小栗旬が卵かけごはんを作っている「味の素」のCMがイヤです。


今でこそ「味の素」は「うま味調味料」なんて言ってますが、昔は「化学調味料」と言ってました。「化学」という表記と響きが、自然物である食品と対極にあり、「いかにも悪いものを食べている」というイメージがあったせいでしょう。wikipediaの「うま味調味料」の説明を読めば、80年代のグルメブームにより化学調味料の使用に対する批判があったからだ、と書かれている。確かに80年代の「美味しんぼ」を読むとその片鱗が窺える。ラーメン業界で「無化調」という言葉が存在しているのは、化学調味料が悪いものとまではいかなくても、あまり好ましくないものと目されている何よりの証拠だ。


個人的にはそこまで目の敵にするようなものでもないし、知らず知らずのうちに摂取しているはずなので、そこまで悪いイメージもないのだが、いわゆるグルメを気取っている方には存在そのものが気に食わないなんてことがあるのかもしれない。「化学」と名前は付いていたものの、実際は植物から生成しているわけで、名前によるイメージの悪さが先行しているといえばその通りではある。言い訳したい気持ちも分からんではない。


しかし、あのCMはそれにしたって言い訳がましい。CMの全てが「味の素はいいものですよ〜」という言い訳に充ちている。


CM中に突如として登場する「サトウキビ」も「化学だなんて言われてましたけども、本当は自然由来なんですよ」という言い訳であるし、味の素を使ったレシピにしたって「化学調味料を使った料理ってかつて物凄い批判されていてダメなように思われてますが、そんなことないんですよ」と言い訳しているように聞こえる。そして何より小栗旬の起用が「あの小栗旬だって味の素を使うんですよ」というのが、最大の言い訳に聞こえる。自分は言いたい。小栗が使ってりゃいいのか、と。小手先で誤魔化している印象が強い。


これがもし小栗ではなく他の俳優だったら印象は違ったはずだ。まあ誰にしたって「××だって味の素を使うんですよ」という言い訳に聞こえると批判することは出来るが、自分はとりわけ小栗旬であることが味の素側の言い訳に満ちていると確信を持って言いたい。そもそも、小栗に「味の素」のイメージなんかない。ではなぜ小栗なんだろう、と考えてしまうが、結局のところ「今流行りの小栗が使ってりゃイメージもいいだろ」という結論しか思い浮かばないのだ。まあ自分の想像力が貧困だ、と言われればそれまでだけど。


本当に味の素の良さを伝えたかったり、または味の素の誤解を解きたいと思っているのであれば、少なくとも小栗は起用しないんじゃないかと思う。小栗が出演しているあのCMから、ファンに小栗の良さは伝わるかもしれないが、味の素のよさは少なくとも自分に伝わってこない。というか、伝える気がないことのほうが伝わる。穿った見方をすれば、「味の素」はやっぱり本当は体に悪いという後ろめたさがあるからこそ、小栗旬を起用することで誤魔化しているんじゃないかとすら思える。


ま、自分は味の素が実際に体が悪いかどうか分からないが、味の素のあのCMを作ったやつのセンスが悪いことは分かる。それが転じて味の素は体に悪いんじゃないかと思えるから不思議。