半端ねえ

爆笑オンエアバトル」第10回チャンピオン大会ファイナルの感想。


今年はオンバトをさほど真剣に追いかけずに、気が向いたら見る程度の位置付けだったのですが、さすがにチャンピオン大会だけはちゃんと見ておこうというのがお笑い好きとしての義務だと思ってますので見ました。とはいっても前半3組(ストリークオジンオズボーン・Bコース)のネタは見れていない。言い訳になるが金曜は飲んでいてきっちりオンバトの開始時間に間に合うように電車に乗る予定だったのが、あろうことに電車が遅れやがりまして、その遅れたぶんだけ見ることが出来なかったという話。悪いのはJRです。


さてそんな話はどうでもよく、見ることの出来た8組の感想を簡単に述べていこうと思います。

トータルテンボス

結論を先に述べれば、10代目チャンピオンとなったのが彼ら(1026kbは歴代チャンピオン最高値)。実力・キャリアからすれば妥当なところだけども、オンバトのチャンピオン大会では芳しい成績が残せていなかったので、チャンピオンになったのは割と意外だった。披露したネタは「M-1リターンズ」でやったものと同じだったわけで、今回のメンバーの中では唯一自分が見たことがあるネタだったのも「意外」の原因のひとつかもしれない。とにかく、面白かったことには異論はないわけで素直に「おめでとう」と言いたい。

プラスマイナス

200人中17人しか投票しないという(246/1090kb)惨憺たる結果ではあったが、そんなに悪いネタだとは思わなかったんだけどなあ。プラスマイナスのネタって元々コテコテの大声漫才であり生理的に受け付けない人もいるんだろうが、それを言ったらファイナルまで出場は出来てないわけで言い訳にならない。ということはやっぱりネタの質が悪かったということになるんだろうけど、プラスマイナスのネタっていつもあんなもんじゃなかったかなあ、と。トータルテンボスの後という出場順も不幸だったのかも。

NON STYLE

9代目チャンピオン。昨年のタカトシのようにあまりに忙しくてネタの練りこみが足りない、というわけではなくちゃんと彼らの漫才になっていたわけで、勝てなかったのは単純に実力差かなあ、と。ただキロバトル数ほど差があったわけではなく(3位886kb)彼らの漫才にしては自分の中では素直に笑えたほうなので、惜しい。それにしてもNON STYLEは昨年チャンピオンになってからもっと売れるかと思ったが、いまいちパッとしない。

タイムマシーン3号

今年も勝てなかったか。うーん。全体的な笑いのちりばめ方はおそらく出場者の中で一番だったと思う。ただ、大爆発がなかったのが悔やまれる。これで一発大きいのがあったら勝てたのかもしれない。個人的には関東の漫才師の中ではかなり上にいると勝手に思ってます。

流れ星

あまり結果は芳しくなかったものの、ここもいつもの漫才でいつもの笑いを取っていたように思った。昨年三拍子の感想で同じことを書いたような気がするが、平均点が高いコンビはオンバト向きではあるけど、審査員の印象に残りづらいという意味では賞レースには不向き。特にここのコンビばボケのちゅうえいがいつも同じような珍奇を披露しているので、逆に賞レースでは突出したインパクトに欠けるという気がする。もっと評価されてもいいよなあ。

三拍子

正直、勝ったと思ってたんじゃないかなあ、本人たちは。そのくらい出来もよかったしウケもあった。平均点が高いコンビが奇跡的に出した爆発力のある笑いは、2003年のM-1で笑い飯が披露した「奈良県立歴史民俗博物館」クラスであり(ネタのレベルが、ではなく、そのコンビにおけるネタの威力がという意味)、ここで優勝できなかったらもう出来ないだろうと思わせたが、2位。


「何かを読みながら披露するネタ」だったのはちょっと気になった。あれって本当に書いてようが書いてまいが、「何か読みながらやってる」というのはあまり見ていていい気がしない。審査員の中にそれで減点した人がいるのかは分からんけども、もしいたならば勿体無いの一言に尽きる。

えんにち

別につまらなかったわけではないけど、いかんせん普通のオンバトでオンエアされる程度のレベル。さすがにこのネタで勝ちきるのは難しい。前3組がなかなか評価されないオンバト弁慶の3組で、なみなみならぬ執念とそれに比例したネタを持ってきていたので、情熱の違いが如実に見えてしまったのは仕方ない。彼らが悪いわけじゃあない。

超新塾

ネタそのもののクオリティは出始めの頃からそんなに変わってない気がするんだけど、見ているほうの意識が変わったのか入る球の数も笑いの総量も大きくなってきた気がする。昨年も同じことを書いたがやっぱりここも賞レース向きのネタではないので勝ちきるのは難しいか。でもこういうグループもお笑い界には絶対に必要だと思います。

総括

M−1準優勝だったトータルテンボスが優勝。かつてのチャンピオンであるアンタッチャブルタカアンドトシも年末のM−1で優勝できなかったものの年明け3月のオンバトで優勝するという道を辿っており、競馬でいうところのダービーに対するラジオNIKKEI賞(旧たんぱ賞)にあたる「残念ダービー」ならぬ「残念M−1」になっている気がする。もちろんM−1のレベルは高く、そこで惜敗した出場者がオンバトで優勝するのはなんら不思議ではない。*1


かといってオンバトチャンピオン大会のレベルがM−1に比べて低いかといえば全くそんなことはなく、昨年のM−1の決勝と今回のオンバトのファイナルのどちらが面白かったかと聞かれれば、自分は僅差でオンバトと答えたような気がする。それこそオンバト弁慶の3組(タイムマシーン3号、流れ星、三拍子)はM−1の準決勝敗退メンバーではあるが、オンエアされたネタだけを見ればどう考えてもオンバトのほうが面白い。M−1準決勝の審査基準がよく分からん、つうのもある。


トータルテンボスの優勝は素直に喜ばしい。その一方で今年も勝ちきれなかったタイムマシーン3号、流れ星、三拍子あたりには今年のM−1で爆発しないかなあ、と吉本高他低のM−1の現状に風穴を開けてほしいと思う次第。M−1常連組と彼らの差は、ない。むしろ上なんじゃないかと思うくらい。


漫才やコントの面白さは努力で評価させようとするのは鬱陶しい。キングコング品川庄司のように「俺たち頑張ってます」を匂わせるコンビは好きではないし評価したくないんだけど、彼らはそうじゃなくて面白い。面白いのに報われないのは素直に応援したくなるじゃないですか。ただそれだけ。

*1:追記。2008年はM−1をNON STYLEが制し、初のオンバト王者からM−1王者となった。