供給過多だ若手芸人

なんだろう、最近若手芸人を見る機会がひところに比べて格段に増えたような気がする。もちろん「はねるのトびら」とか若手芸人メインの番組が増えた、つうのもあるだろうが、番組のアクセントとして起用されるようになったのが原因のように思う。

若手芸人の起用の先駆けはもちろん「爆笑オンエアバトル」である。もっとも若手のネタ番組なので「起用」と言えるかは微妙なところではあるが。そして追随するように最近では悪名?も高い「エンタの神様」だったり、「爆笑問題バク天」「新すぃ日本語」など、若手をプレゼンターとした番組も増えてきている。

これもひとえに「若手芸人ブーム」というのか。確かに停滞するテレビ業界に新風を吹き入れたいという願望はあるものの、芸人のテレビにおけるヒエラルキーはナイナイがよく口にする「上がつかえている」の現状をまったく打破できずに後進がなかなか芽を出せないでいるのも確かだ。

しかしまあこんだけ出演機会が増えるようになれば、いまさら慌てて「若手の育成」なんてものに力を入れる必要もないような気がするんだが。その点で「M−1グランプリ」の役目は既に終わっているのかもしれない。2年前に始まり、初回の優勝者は「中川家」、去年は「ますだおかだ」といづれもキャリア実力ともに十分の若手ギリギリが優勝しているわけで、皮肉なことに若手育成の起爆剤になっているようには感じない。ブレイクのきっかけを与えただけ。

今年も決勝に残った10組が発表されたが、なんかそう期待できるメンバーでもない。あけすけに言えば見飽きたということになるか。どの芸人もダークホース枠(今年は「千鳥」つうのがいます。毎年このダークホース枠が用意されてしまうあたりにも、この大会の信憑性を疑いたくもなる)がいますが、基本的にはどの漫才コンビも見たことがある。お笑い好きならなおさらであろう。

だからどの芸人がどんな芸をやるかはもうわかっているわけで、それこそ「審査員ウケ」と「そのときの調子」が勝敗を左右することになるのだ。でも審査員も「自分たちが選んだ芸人がショボかったら困る」というプライドもあるわけか、結局無難なところに落ち着くということもあったりで、3年目にしてもはや興味が薄らいでいる部分もありまして。

詰まるところ何が言いたいのかといえば、若手芸人がテレビに溢れすぎなんだということだ。それをなにも勿体つけてやらんでも、いつでもテレビで見れるじゃない、というこの感じがどうもね。 あと審査員の顔色うかがって漫才やらせてもあんまり面白くないのは自分だけじゃないはずだし。みんな真剣で怖い。そりゃ笑えないって。