死闘の果てに

「TVチャンピオン」はもう長いことやってる番組であるが、賞金は50万円(今は100万だったけか)と決して高額とは言えないが(いや、一般感覚からすればもちろん高額ではあるが、その回によって「凄さ」に落差がある場合、高額とは思えない時もままある)賞金よりも現在は名誉が十分な社会的価値を発生しているのでOKというもんだ。これも長いことやってる付加価値みたいなもんだけど。

さて、そんな「TVチャンピオン」であるが、昨日の放送は「手先が器用選手権」というこの番組の有名企画のひとつである。どれだけ手先が器用か、ただそれだけを競うのだがその競い方は最強にアホくさい。しかし視聴者に対してこれほど真剣に番組を見させるバラエティもなかろう。

決勝では「プルプルラビリンス」という、かつて「炎のチャレンジャー」でやっていた「電流イライラ棒」の超ミニチュアバージョンをやらされるのだ。しかもそのバーの先っぽにはサイコロを5個積んで。なんて余計なことを。

それでチャレンジ回数は無限ではなく100回限定である。100回もやれば成功するんじゃねえの?と思いきや、決勝まで残った二人は一度も成功することなく、結局勝負は「優勝者なし」という形で終わったのである。

正直、やっているほうも疲れたが見ているほうも相当に疲れた。しかもそれでいて勝負がつかなかったから優勝者なしとは一体何事であろうか。非常に「やりきったはずなのにやりきれない感」を残すという、TVチャンピオンにおいては非常に珍しい結果に終わった。だけど決勝まで残ったふたりはもちろん、見ている視聴者だって納得できないんじゃないか、あの「優勝者なし」には。ふたりとも十分優勝のような気がするんだけど。

それでも「優勝者なし」にしたのは、次回への期待からなのか、それともルールが絶対であるというテレ東のこだわりなのか。なんか違う気がする。でも答えは案外簡単なところから出てきそうだ。

それは単に二人に賞金を渡すのが惜しかったんじゃなかろうか。不況の現在、一応キー局とはいえ下手なネット局より資本力の小さいテレ東が二人に同じだけの賞金をくれてやるのが惜しかったんだと思う。いや、確かに賞金を出すくらいの金は間違いなくある。予算だって組んでるんだからさ。でもきっと、「プルプルラビリンス」の製作に金をかけすぎて実は予算オーバーしたんだ。だから賞金も出せない。そのうえ、今回優勝者が出なければ次回の時も同じマシーンが使えるという利点が発生するではないか。これだ。これに間違いない。

あの「優勝者なし」の裏側には、「次回まで引っ張れる」という表向きの名目もあるが、裏名目は「次回までこのマシーンが引っ張れる」という財政面の負担軽減という結論に着地である。してやったりか、テレ東よ。