ナポレオンズはもっと賞賛されてよい

昨日「うたばん」を見ていたらナポレオンズが登場した。別に歌を歌ったわけではなく、ちゃんとマジックをやっていた。

ナポレオンズといえばボナ植木(主にマジック担当のメガネの学生服)とバルト小石(主にしゃべり担当の小さいオジサン)からなるマジックコンビである。この文章を書くに当たって経歴を調べてみたら、専修大学のマジック同好会で結成されたコンビで、芸歴は25年、二人ともすでに50歳を過ぎている。バルトさんのほうは確かに年齢を感じさせる風貌になったが、ボナ氏のほうはまるで年齢不詳であるところがなんとも、また。

でまあ、昨日もおなじみの「首が回転する」というマジック?から得意の「1万円両替」マジックまでナポレオンズワールドを短時間堪能したわけだが(正直そのコーナーのメインゲストのシャカラビッツなんてどうでもいい)、ナポレオンズはネタを終えたあとにそのシャカラビッツのメンバーのひとりをつかまえて「弟子にならないか?」と言っていた。まあその場面では冗談にしても、なんだか弟子がいないのは本当らしくて(みんな辞めたらしい)、後継者がいないことに悩んでいるとのことなのだ。

確かに、マジック業界を見渡してみてもテレビに出演してエンターテイナーな芸を見せるマジシャンというのは数える程度だ。ミスターマリックはその一番手であろうが、あとはナポレオンズマギー司郎くらいなもんだろう。まあ、マギーは弟子の審司も含めてマジックがメインではない部分もあるし。

そう考えると、マジシャンの数だけは一定数いるような感じもするのだが、「一般人にマジックの楽しさを伝える」みたいないわゆる「芸人としてのマジシャン」というのがいなくなってしまう、というのも考えものである。前述した3グループはもう長いこと「エンタメとしてのマジック」の第一線を走りつづけている。ていうか、誰も追随してこないという状況である。まあ、偉大な3組ではあるが、後進が育たないというのも困った話である。

実際、3組の中でもっともバランスがとれているのはナポレオンズだと自分では思っている。マリックは単純にマジックが凄く、マギーは面白い。そのよい部分を足して2で割ったのがナポレオンズだという見解は結構自信のあるところだ。

そりゃマギー一門のようなマジックは面白いし、マリックのような本格派もいてよい。ただ、ナポレオンズはその両者を兼ね備えているのにもかかわらずいまいちマギーやマリックに比べて評価されてないような気がしてならないのだ。いや、確かに知っている人は普通に知ってるし、評価も十分にされていいと思う。けどなんだかそのイメージが地味なのか、いまいちメジャーじゃないような印象をもたれているような気がしてねぇ。これが自分の気のせいであるならいいのだが、もしその通りなら、ナポレオンズにもっと注目してもいいのではないだろうか。

ちなみに、ナポレオンズは数年前にテレ東系でマジック番組のレギュラーを遠藤久美子とやっていたのだが、いかんせん地味すぎて誰にも注目されなかった。惜しい。