そこは早押しじゃあ

高校生クイズ」の感想を。


昨年までの「海外でカップルがイチャイチャキャホー」を推奨するウルトラクイズラシックスタイルは終了し、今年からは「地頭力」(じあたまりょく)を競うクイズに変更。いわゆる「脳トレ」のような問題やパズル系の問題、発想力やそこそこの体力を競う簡単に言えば「クイズ研究会があんまりやってこないクイズ」形式に変更された。そしてしれっと3人1組に戻された。海外行かないから2人でも3人でもいいんだろう。


とはいえ、この形式は「従来高校生クイズがやっていたもの」であり、長いこと高校生クイズを見ている側からすれば「こういうクイズをやってこその高校生クイズ」だと思っているけども、実際参加した高校生や、これを見ていた若者、そして「クイズオタクどや顔甲子園」時代のスターことクイズ王の井沢氏はどう思ったのだろう。


問題は総じて悪くなかった。法則性を考えながら穴に落ちないように先に進んでいくクイズは、答えが見えてしまえば簡単に勝ち抜けるし、また分からなくても運の要素だけでも先に進めたのも面白い。実際法則性が分からなくても勝ち抜けたチームもあり、そこで見せ場が生まれたのも良かった。やっぱり高校生にキャラクターがあるのはいい。


「タイヤを短時間で運ぶにはどうすればよいか」とか「風船を短時間で割るにはどうすればよいか」とか、地味に体力に訴えるものも多かった。多かったのだけど、「知恵を絞れないなら体力でカバーする」というスタンスであるし、最終的にはちゃんと「そもそもクイズが強いところ」が残ったのだから、これでいいのだと思う。欲を言えばもう少し女の子が粘ってほしかったのだけど、まあこんなもんだろう。


優勝したのはクイズ界隈では有名な東兄弟を擁する桜丘高校。「どや顔甲子園」時代の負の遺産である「高校偏差値を示して頭の良さを示す」制度がまだ残っているのだけども、桜丘高校は決して偏差値的に高い学校ではないので(50を切っている)、逆に「彼らがなんかよく分からないけど凄い」ことになっていた*1。あれもうやめませんか。何のための「地頭力」アピールだったのか。まあ「地頭の良さ」と「高校の偏差値」には正の相関関係はあるだろうから、無意味とは言えないんだけど*2、結局「偏差値高い学校には勝てないのかい」となってしまうと、それはダメでしょうよ。桜丘高くないんだけど。


全体的に悪くなかった今回、一つだけ思ったのは「さすがに普通の早押しクイズもやってあげるべきだろう」ということ。もちろん決勝の問題の「壁をよじのぼる」も悪くなかった。想定している答えではなく強引に壁をよじ登ったのも面白かった。しかし、「全然興味ないけど引き受けた仕事」感満載だった千鳥ノブ風に言えば「そこは早押しじゃあ」だろう。決勝まで残ったんであれば、クイズ研究会は活躍する場所を与えられてもよくってよ、じゃないか。特に「そういうクイズを望んでいる人たち」は怒っているんじゃないだろうか。ただ、「そういうクイズを望んでいる人たち」が参加できるクイズ大会はたくさんあるし、高校生の分母に対してほんの僅かであるということ。どちらを取るのがテレビ番組として得策かは言うまでもない。けどまあ礼儀として「普通のクイズもやるべき」だったとは思う。


というわけでクイズ王井沢氏は不満に思ってしまうかもしれない今回の高校生クイズだったけども、個人的には「こういうのであるべき」だと思っているので、普通に楽しみながら見ることが出来ました。今年の高校生クイズが果たすべき役割は「これならクイズ研究会じゃなくても勝てるチャンスはある」と思わせること。そして何より「参加したら面白いんじゃないか」と思わせること。来年以降少しずつ参加者が増えていけばいいと思う。少なくとも北海道予選をSTVホールでやってるうちはまだまだ復活とは言い難い。モエレ沼公園真駒内公園でやっていた自分たちの頃まで参加者が戻ることを切に願う。

*1:実際東兄弟はどちらも鹿児島ラ・サールからクイズのために転入している。それもよく分からなくて凄いが、個人的には「むさ苦しい男子高よりも、イチャイチャキャッキャで優勝した昨年の桜丘高校に憧れてしまった」に一票

*2:ちなみにただの「クイズオタクどや顔甲子園」の場合は偏差値は無意味だと個人的には思っている