世にも奇妙な物語

秋なもんで、テレビが特番で溢れている。そんな中必ず改編時期にやってくるドラマといえば「世にも奇妙な物語」なのである。


もうレギュラー放送としてやっていたのは10年も前の話で、何度かレギュラー放送されたあとSP版として春秋の改編期に1度、つまり年2回やるのが定番となっている。ストーリーテラータモリもずっと変わることがなく、それでいてこのドラマからたくさんの人気「脚本家」や「演出家」が生まれているという他のドラマとは一線を画す存在だ。レギュラー放送では割と地味な主演が多かったが、SPになってからは大体人気の役者が主演することも多くなった。歴史はこのくらいでいいとして、3日の秋版は久々に面白かった。最近はやはりネタ不足ということもあってかあんまりインパクトのある作品がなかったように思えたのだが、今回はなんだか素直に楽しめた。

「採用試験」 深田恭子主演
オチから言ってしまえば、深田が扮するロボットが、人間の不確定な部分である「感情」を持ち合わせているかどうかという「人型ロボット採用試験」であった。見ている側には普通の会社の採用試験なのだが(試験の内容はものすごく突飛で、そのことで人間の感情を揺さぶるというもの)、最後に種明かし、という「世にも」にの典型的なパターン。深田恭子の無表情が印象的であり、あとから思えば納得の雰囲気があったので素直に「そうだったのか」と思えた。しかし何より


深田恭子の眉毛が薄くて妙にロボットくさくない部分にやられた。


意図的であるにしろないにしろ、あの「眉毛演出」は反則のような気がする。


知らなすぎた男」 佐藤浩一主演
ブサイクな妻(片桐はいり)と別居中の男(佐藤)が、同僚に言われた「ポジティブシンキング」をしてみると、なぜか妻が別人のようにかわいくなっている。さらにまた別の日に会ってみるともっとゴージャスな妻(叶美香)になっているではないか!そして彼は別居をやめてまた二人でやり直そうといい、彼が妻に最初にプロポーズしたときのように煙突に上って(彼の仕事は消防士)プロポーズをしようとするが、落っこちて死んでしまう。


しかしこれは策略であり、ブサイクな妻の依頼を受けた美人の妻とゴージャスな妻が仕組んだことで、彼の保険金を手に入れるための芝居だったと最後に判明し、その保険金をブサイクな妻が受け取って話は終了。ストーリーだけでも結構面白い話だとは思うが(個人的に感動主体の話より、オチがダークなほうが好き)、何よりこの話で凄いのは叶美香。なぜなら彼女は


存在だけで「世にも奇妙」。


いきなり妻がゴージャスに変わったらそれは「世にも」の世界なのだが、しかしそれ以上に「叶美香が自分の生活範囲の中にいる」ということ自体がすでに「世にも」の世界なのである。だから、このドラマの面白さの核は「妻がゴージャスに入れ替わる」という部分ではなく、叶美香が生活観を出そうとした演技をしていることでした。全く生活観のカケラもない感じでしたが(いくらゴージャス感を出すためとはいえ、あの衣装はねえよ)そこが完全に「世にも」の世界。この脚本は台本ありきではなく、叶美香ありきで書かれたとしか俺は思えません。


「連載小説」 木村佳乃主演
これもオチから言ってしまえば、ネタに困った人気小説家が自分で事件を起こしていたのだが、ありもしない「架空の人物」を自分の中で作り上げるが、最終的にはそれが明らかになり逮捕される、というものである。この「倒錯」パターンは1本目の「採用試験」にも使われているが、こちらは「本編の主人公も視聴者も倒錯している」パターンである。オチは読めたようなものですが、単純に木村佳乃が美人だ。それだけの作品。


「声を聞かせて」 加藤晴彦主演
「世にも」王道のひとつであるホラー物。詳しい説明は省略するが、結果的に結構なホラーでした。この作品には「女性の声だけの出演」があるんだけど、声優の林原めぐみが担当。誰か女優がやってるんなら相当豪華な使い方だなぁと思ったのだが、人気声優がやっていたのでやっぱり豪華だったというわけです。それにしても加藤晴彦はもう20代後半のはずなのにどうして深夜のコンビニ店員があんなに似合うんだ。5年前くらいから似合ってたような気がするから5年前と演技の幅がほとんど進歩していな(以下略)


最後は藤原紀香主演なんだけどタイトル長くて覚えてません。いい話でした。結果的にこういう話で締められると満足感が違う、やっぱり。藤原紀香のイメージってそんなになかったけど、いつのまにか主婦役もできる人になってたんですね。まあ年齢からいえば出来てもおかしくない年齢なんですが、そういうイメージがやっぱりあまりないのでつい感心してしまった。



というわけで簡単にレビューらしきものを書いてみたが、別にオチはないです。なんだかんだで書いてみたら自分は女性しか見ていないことに気付いた。