「世にも奇妙な物語 '23秋の特別編」の感想を。2か月更新さぼったんでマジメにやります。
永遠のふたり
草彅剛主演。時間を止める装置を発明したにも関わらず、その功績を認められず教授殺しの疑惑をかけられている主人公(草彅)。周囲を包囲した警察と警部(江口)が突入するも、そこには誰もおらず、白骨化した二人の死体が。残されたスマートフォンには、主人公が時間を止める装置を使い、死ぬまで時間が止まった世界で生き続けていたことが分かる。さらには時間を止める装置が解除されると同時に謎の破壊兵器が動き出すようになっており、それを止めようとした警部が時間を止めるボタンを押し、なんとか兵器は止まる。しかし今度は警部が永遠に止まった時間の中に取り残される。
とまあ、あらすじを書いてみたら一応の体裁は整っている感じがするんだけど、映像で見たら激つまんなかったんですよこれ。話の展開があまりに唐突すぎるし。主演草彅で二番手江口洋介ですよ。にもかかわらず地獄のありさま。しかも演出脚本は「世にも」の演出家として名を馳せた共同テレビの星護。星の軽妙な演出が上滑りしていた感もあるのだが、それにしてもどうやったらこんなに酷い作品になるかね、と疑問でならない。
「次回の世にものキャスティング、(旧)ジャニーズの○○さんが入ってますけど、これ放送当時に大丈夫になるやつですかね?」
「うーん、もしかしたらヤバいかもしれないな。なんならお蔵入りになりかねない。そのうえ撮影したことがバレたなら「いまだに忖度か」とか言われかねないぞ。現にジャニーズからは毎回じゃないけど、まあまあ出てるしな」
「じゃあどうしますかキャスティング」
「そうだな、世にもはキャスティングに忖度してませんとアピールするためにも、辞めジャニ使ったほうがいいんじゃないか」
「例えば?」
「草彅剛なんてどうよ。「罠の戦争」も良かったし」
「なるほど、それいいですね。でもこの流れでいきなり草彅さん使うのちょっとあからさまって感じじゃないですか」
「じゃあ草彅を使うもっともな理由を作ればいいじゃないか。草彅のドラマといえば「いいひと。」とか「僕の生きる道」とか、草彅とゆかりのある星護がいるじゃないか。星護に撮らせて草彅出しちゃえばいいじゃん。あの星護が世にもに復帰!主演は関係性も深い草彅剛!的な感じでさ」
「うーーん、まあ、それでいいなら…」
てな会話があって無理やり星護に脚本まで書かせて短時間で撮らせたんじゃないか疑惑。じゃないと、とてもじゃないけど放送に耐える出来じゃなかったと思うんだけど。そう思ったのは自分だけで、古の「世にも」ファン(自分もなんだけど)は「星護演出は神」とかでもなったのかなあ。まさか。
地獄で冤罪
北村一輝主演。事務所で夜中一人仕事に追われる弁護士の主人公(北村)。誰もいないはずの部屋から自分を呼ぶ声がして、探してみるも誰もおらず。しかしよくよく話を聞いてみると、先日死刑になったばかりの男が地獄から地獄での裁判の弁護を頼みたいとの話。仕方なく弁護を引き受け調べていくうちに、それは自分が犯人を目撃しながらも通報せずにいた事件で逮捕された男であることを思い出す。地獄で裁判にかけられていたのは男のほうではなく、「冤罪であることを知りながら何もしなかった」ことに対する主人公への地獄裁判であり、そのまま有罪となり地獄へ。
「世にも」のメジャー分類(と勝手に自分が呼んでいるだけ)の「自分が」パターンです。それ以上でも以下でもない。
走馬灯のセトリは考えておいて
西野七瀬主演。生前のデータを入力することで、亡くなった人間のクローンのようなロボット「ライフキャスト」を作る仕事をしている、父親と二人暮らしの主人公(西野)。魂のないロボットを作ることに疲れ、仕事を辞める決意をしていたところに新しい仕事が入る。それはかつてバーチャルアイドルとして活動していた黄昏キエラのライフキャストを作ってほしいという依頼だった。依頼主は実は2代目の黄昏キエラであり、初代は活動の最中に亡くなっており、その彼女が成し遂げたかったことを果たすためにこの依頼をしたことが分かる。ライフキャストは完成し、願いであったお別れライブも終了。実は主人公の父親もライフキャストであり、仕事を辞めたら父を処分しようと考えていたが、考えを変え、そのまま仕事も続けることに。
SF小説が原作なので、骨子がしっかりしており、CGもガンガン使うし、内容に応えるためこの1本だけやたら力入りすぎてる感。人の生き死にに関わり、その思いを伝えるというのはアニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」にも通ずる中身で、関係者がその気なら連ドラ化だってできなくはない感じ。すんのかなあ。
トランジスタ技術の圧縮
溝端淳平主演。分厚い雑誌「トランジスタ技術」を保管のため圧縮することに命を懸ける男の戦い。アイロンを用いて背表紙ののりをきれいにはがすことで圧縮をする「圧縮の神」を師匠に持つ主人公(溝端)と、元々は圧縮の神の弟子でありながら、雑誌をむしることでページを圧縮する手法に変わった男との一騎打ち。最初のうちはむしりの圧倒的なスピードに後塵を拝す主人公だったが、秘技の炸裂と相手のミスが重なり形勢逆転。話は一件落着に思えたが、そこに現れたのは同じように分厚い雑誌「LEON」を持ったジローラモだった。
大いなるバカ枠。実在する雑誌トランジスタ技術を圧縮するというだけの徹頭徹尾バカ。原作が実在するのもバカだし(逆に原作が存在しないとこんな話絶対に作れない)、やってることもバカだし、そしてオチもバカ。感服いたしました。
個人的には「トランジスタ技術の圧縮」が頭5個飛び出していて、秀作の「走馬灯のセトリは考えておいて」、凡作の「地獄で冤罪」、そして大問題作の「永遠のふたり」と、色々な意味で見所の多い回だったなと。特に「永遠のふたり」は「TVer」で見られるうちに見ておいたほうがよい。傑作選として絶対再放送されないから。
年内、まだまだ更新するつもりだよ!いや本当に。