トイレタイムを逆手に

世にも奇妙な物語'20秋の特別編」の感想を。

 

コインランドリー

濱田岳(へいひの)主演。派遣先をリストラされフリーターのさえない主人公。ある日コインランドリーで「冷たいビールが飲みたい」と呟くと、洗濯機からビールが。不思議に思っていると、清掃員(コロッケ)から「これに願えば欲しいものが出てくる。ただし1日しかもたないから気を付けて」を言われる。彼女が欲しいというささやかな願望を毎日満たしていくうちに、コインランドリーで知り合った就活生の近藤(岡崎紗絵)に「変わってしまった」と言われる。そんなこと気にせずに毎日違うタイプの女性を出し続けていくが、清掃員に「人間だけはダメだ」と言われる。理由を聞けないままでいると、急に意識を失い、自分がその洗濯機から出てくる。変わってしまった近藤が「以前の主人公に戻ってほしい」と願われたためだった。テレビから流れるニュースで目にしたのは、自分が出したお金がどこか別の場所から消えているという事実。そして最終的に「自分も1日後に消えてしまう」ことを悟るのである。

 

世にも大定番の「自分も」パターン。それ以上でもそれ以下でもない。へいひのがやればそれは全てドラマとして成立するんだから仕方ない。へいひの32歳。まだまだ若者の役もやれる。「教場2」も楽しみにしてるぞ。

 

タテモトマサコ

大竹しのぶ主演。婚約者が急に自殺した志倉(成海璃子)は、その死を不審に思う。前日に館本(大竹)と揉めていたことを聞きつけた志倉は館本に問い詰めるも、翌日何事もなかったかのように出社する。婚約指輪を見て「何かを忘れていた」ことに気づく志倉。その後館本の周囲で不審な自殺が続いていたことが発覚。館本に屋上に呼び出され、館本が「他の人間より言霊の力が強い人間」(=言ったことが実現してしまう)であることを明かされるも、全て忘れて会社から去るように告げられてしまう。館本の言霊通り志倉が会社を去るも、予めそうなることを見越していた志倉は、屋上でのやり取りを録音し、腕にメモしていたおかげで音声ファイルで会社じゅうにばらまくことに成功。「私のことは忘れなさい」という館本の音声が会社の人間に伝わり、誰も自分の存在を認めない館本はどこかへ消えてしまう。

 

今回のナンバーワン。大竹しのぶが不気味なオバサンを演じるというだけで勝ちなのだけど、ストーリーもしっかり起承転結がついていて面白かった。ともすればただの「自業自得」系で終わってしまうのだけど、そこは大竹しのぶ。不気味さを維持したまま最後まで緊張感を保って終了。さすがだよさすが。

 

イマジナリーフレンド

広瀬すず主演。小さい頃に自己防衛本能として見えていた「イマジナリーフレンド」のぬいぐるみユキがまた見えるようになった大学生の主人公(広瀬)。大学でパシリに使われる幼なじみのことを助けることが出来ずにやきもき。そんな中大学内で優しくされた男と仲良くなるも、自宅で男に襲われそうになる。その状況を救ってくれたのは、いざこざがあり狂暴化したかに見えたユキだった。襲われたあとで見つけた写真に写っていたのは、主人公の姉の友希(ゆき)であり、イマジナリーフレンドの正体が姉であると分かる。

 

あらすじだけを読めばどうにもこうにも陳腐ファンタジーであり、実際ドラマもそんな感じだった。しかし今回の裏MVPはこの作品である。なぜならユキの正体が姉と判明した直後にCMが入り、そこに登場したのが広瀬アリス(言うまでもなくすずの姉)という離れ業をやってのけました。「アメトーーク」の嵐SPでCMがずっと嵐もなかなかな力技でしたけども、CMという本来邪魔くさいトイレタイム(©乱一世)を逆手にとってこういうお遊び(あるいはただの偶然)を出来るのはとてもいいですよね。

 

アップデート家族

高橋克実主演。安月給で家族の扱いも悪い主人公(高橋)が見つけたチラシには「家族のアップデート」の文字が。実際試してみると母親は得意分野の分担と主人公のやる気を出させるために5人の美女に。兄と弟は一体化され、ペットの犬はVTR化。祖父と祖母はGとBの無機物に。怒り狂う娘(吉川愛)をよけようとした主人公は頭を打って気絶。死んだのかもしれない。その後アップデートが行われ、父親はイケメン外国人に、そして娘はアニメに。

 

今回の完全なるバカ枠。吉川愛ちゃんこと吉田里琴ちゃんの立派な姿に岡田将生も泣いている。たぶん。

 

これ書くにあたって前回('20夏)の文章を見直したら「オープニングちゃんとやれ」と、今回思ったことと同じことを書いていて「全く進歩がないな自分も世にもも」と思いました。そして前回の最後に今回の予告が流れていたことなんてすっかり忘れてました。広瀬すずがコロナ復帰後のリハビリ演技だなあと思っていたけど、全然コロナ前でしたね。感想とはかくも適当なものです。また次回(来年春くらいかな)お会いしましょう。