正解が出ない

世にも奇妙な物語 ’20夏の特別編」の感想を。

 

しみ

広瀬アリス主演。両親が経営するクリーニング屋で働く主人公(広瀬)。両親が不在の時に持ち込まれたしみ付きのシャツ。チョコレートのしみと言われ落とそうとするも落ちず、それを見て動揺する両親。さらにはしみが気持ち悪い顔型に広がっていく。落ちないしみの正体はかつて両親が隠蔽した殺人相手の娘による呪いであり、主人公はその呪いを逃れるために娘を殺してしまい、両親がしたのと同じようにしみを洗い流し隠蔽する。数年後幸せに暮らす主人公だったが、服についたしみがきっかけで悪夢がよみがえり、そしてまた殺した相手を目にして気絶してしまう。しかし本当は主人公が両親不在のときに脳出血で倒れてしまい、いまだに意識が戻らないままだった。顔型のしみに見えていたのは、主人公の脳出血のあとだった。

 

単純なホラーと見せかけて、実は「しみ」に裏の意味が隠されている王道のパターン。やっぱり広瀬アリス素敵やん。そして次回作の予告で妹すずが主演することが伝えられるほうが世にもっぽいですね。

 

 

3つの願い

伊藤英明主演。妻が突如として誘拐される大金持ちの主人公(伊藤)。その消え去り方を不審に思った警察は身辺を調べ始めると、主人公に不可解な部分が多いことに気づく。問い詰めると「ランプの精(滝藤賢一)が自分の願いをかなえてくれた」と話す。その際に手に入れたのは「生活に困らない大金」「自分のことを好いてくれる美人の女性」「自分に適合する心臓」であった。ランプの精は「与えるものは等価交換だ」と告げ、主人公に全てを与える。しかしその等価交換は「未来の自分」との交換であり、以前に与えられた大金も妻も、今の自分から与えられたものだった。そして最後のひとつである心臓も、今の自分から与えられたものであり、ランプの精は心臓を奪い去って消えてしまう。

 

自分は見ていて割と早い段階でオチに気づいてしまったのですが、「半沢直樹特別編」を見たあとの滝藤賢一だったので、もうそれがおかしくて仕方なかった。「半沢直樹」の頃では考えられない滝藤賢一の大活躍は、ランプの精に何かもらったんじゃないかと思えるくらいでした。話そのものは因果応報系ですね。

 

 

燃えない親父

杏主演。父親が亡くなり、火葬場に駆けつける主人公(杏)。火葬が終わるのを待っていたが、そこで告げられたのは「遺体が燃えていない」ということ。「燃えないのは何か心残りがあるのではないか」という話になり、その心当たりを探していき、最終的にちゃんと火葬される。

 

導入はバカ枠なのだけど、最終的には「ちょっとだけいい話」に落ち着くパターン。それよりも「実際の旦那が炎上中だったのに炎上しない」杏だとか、「朝ドラの役のままキャスティングしただろ」なスカーレット松下洸平、「放送が春の予定だったから旬を逃したかな?と思いきやMでプチブレイクがあったおかげで旬を保ったままの写真集」田中みな実など、本編じゃないところに見どころ多し。

 

 

配信者

白洲迅主演。テレビ番組のADの主人公(白洲)がネット配信をするも全然バズらない。どうしたらバズるのかと呟いていたら「これを見て」と怪しげなリンク。すると自分の職場に忍び込む怪しい影。明らかに主人公を狙っており、配信動画を見ながら逃げ惑う主人公。絶体絶命のピンチで配信は終わる、が再び配信が開始され、動画はバズる。

 

ここ数年の世にもは「ネットとの融合」をずーっと模索しており、あらゆるパターンで世にもらしさを追求しようとしている。今回の作品もその一つで、主人公をつけ狙う配信者の正体「西野ン」(にしのん=死人の)がリモート会議を主催していたり、テレビとネットを融合した仕掛けは上手い。しかし最終的にネットモノはおおよそ「正体が謎」で片付けられてしまい、なんかスッキリしない。なかなかネット上の「世にも」における正解が出ないなあ、という感じがある。自分がオッサンだからだろうか。ネットの有象無象の世界だからこそ、正体不明じゃなくて正体のある怖さを模索してほしい。

 

 

春の放送が延期になっていたゆえ、次回の秋放送の撮影が全て済んでおり予告編が流れるというエンディングが一番奇妙だった今回の放送。それよりオープニングちゃんと流してほしいんだよね。タモリ倶楽部といい、毎分視聴率を気にしているのか単に時間がないのか、オープニングという形式美を最近のテレビはないがしろにしすぎだ。そういうの嫌い。