看過できないのは不幸かもしれない

ご無沙汰しております。

 

気付いたらオリンピックが始まって終わってましたね。オリンピックが東京で開催されることが決まったときは、正直「すごい楽しみ」だったんですけど、オリンピック開会が近づくにつれて「なんだかなあ」という話がたくさん降りかかってきて、最終的には「どうでもいいや」のテンションに落ち着きました。仕事上リアルタイムでの視聴が出来ないこともあり、気付いたらいつものオリンピックより見ていない感じです。なんなら自分の職場の近くでマラソン走っていたというのに。

 

開閉会式も酷評されていますが、あんなゴタゴタがあった中で、どんな形であれなんとか披露されたものに、「お疲れ様」という言葉より先に批評の言葉が出てしまうことは卑しいのではないか?とか考えるわけですが、世間はそう思っていないんだなあと感じました。じゃあ自分はどう感じたのか、といえば殆ど見ておらず、閉会式で表示された「ARIGATO」の文字に広末涼子のファーストアルバムを感じただけです。

 

そのくらいどうでもいい感じで終わってしまったのですが、それにしても、みなよくもまあどうでもいいことで怒っているな、と思います。

 

どこぞの市長が他人が苦労して手にした金メダルを勝手にかじったり、どこぞのハリーが女子ボクシングに対するえらい偏見でコメントしてみたり、どこぞのメンタリストがホームレスの命なんて俺の高額の税金で救いたくないよーんと言ってみたりすることに関し、そりゃまあ世間の人たちが怒るのも分からないではないです。

 

しかし、世間のみなさまは本当に怒っているんですかね。自分は正直なところ大した怒りも沸かないのですよ。

 

元々自分の中で社会正義だとか道徳とかモラルってのがあまり高いわけではありません。取り立てて低いわけでもないと思うのですが、かといって他人のモラル低めな言動とか行動を糾弾するほどのテンションにはなりません。口にするかどうかはともかく、自分もそういう面あるしなあ、と思う。シンパシーは感じないけど「自分にもある部分」を殊更責めるようなマネは自分に返ってくると思うので。言ってしまえば自己防衛。

 

しかし何より「元々そういう人たちに何を怒っているのか」という側面が強い。

 

河村市長はメディアに出演が多かった時から「典型的なデリカシーのないオッサン」であったし、張本勲は「サンデーモーニング」が放送されて以来ずっと「狭量なオッサン」であったし、メンタリストDaiGoはもう最初からずっと「いけすかない奴」であったわけで(あくまで個人の感想です)、その印象と違わない彼らのこれらの行動や言動は「まあそうでしょうね」と思うだけだ。

 

例えば動物園でゴリラにウンコを投げつけられたら驚きはするけども怒りはしないんですよ。だって自分はゴリラがウンコ投げるって知ってる。それを知って近づいてウンコ投げられても驚きはしても怒りはしない。ウンコ投げられるのは想定済みとしていないとおかしい。自分からすれば怒っている人はウンコ投げられて怒っている人に近いんです。

 

もちろん彼らの行動や言動は決して褒められたもんじゃないです。自分だってウンコ投げることそのものを肯定しているわけではありません。けどゴリラに対して「ウンコ投げちゃいかん!」と怒ることをしないのは、相手が人間だからじゃない、という理由とともに「そもそもそういうことをする生き物なのに、その前提から怒ることはなんか違うんじゃないのか」と思っているからです。

 

河村市長は「そういうことをする人」であり、ハリーは「そういうことを言う人」であり、DaiGoは「そういう思想を持っている人」なのです。同じ人間として受け入れられないという気持ちも怒りも分かりはしますが、「そういう人」「そういう生き物」に対して「なぜそんなことをするんだ!」と怒っても、「いやそういうふうに生きてきたから」の一言で片付いてしまう問題なのです。

 

河村市長がいくら給料をカットしたところで、記者会見でのふてくされっぷりを見れば「何でこんなことで怒られているのか分からない」ことはすぐに伝わる。あれを見て「まだ反省していないのか!」と怒ることよりも「まあ仕方ないよな、そういう人だから」と思ったほうがどんなに分かりやすいか。

 

自分がこれらの問題に対して何も感じていないわけではない。メダルかじりは気持ち悪いと思うし、女子ボクシングに対する配慮のなさは唾棄すべきだし、納税額でマウントとってくるような奴は社会的地位が高くても見下してます。かといってこれらの話題を他人がいちいち話題に挙げるような話かね、とも思う。心の中で「はああ」と思えばいいだけの話を、いちいち槍玉にあげて怒ることは「自分の中の正義を満たす」という、「彼らの言動や行動と同程度にしょうもない」目的以外に何か使い道はあるんでしょうかね。

 

もちろんメダルを噛まれた人とか女子ボクシング協会とか生活保護とかに関わっているとか、当事者が怒るのは分かる。けどそうじゃない人が無暗に怒っているのを見ると、本来持つべき怒りも萎えてくる。

 

 

自分が本当に怒りたいのは「イモトアヤコ妊娠」のニュースを見て、本来ならば「やっぱり子作りのときはイクじゃなくてイッテQって言って果てたのかな」と思うべきところを「海外ロケないから子作りっていうより、もう番組終わるってことじゃないのか」という感想を抱いてしまったことですね。何冷静にクソみたいな分析してんだよ、と。まずは下ネタに邁進しろよ、と自分で自分を戒めて怒りたい。

 

 

 

今もってこんな文章を読んで下さる人が、いまさらこれを見て「失望した」とか「不謹慎だ」という感想にはならないでしょ?自分の言いたいことはそういうことですよ。