だれかおしえちゃくれないか

今年の「27時間テレビ」は千鳥とかまいたち、ダイアンの「鬼レンチャン」ベースなので本当に久々に少し楽しみなのです。

 

今世の中で最も悪意に満ち溢れた最高に面白い番組が「鬼レンチャン」です。体力系もそれなりに面白いがやはりカラオケが至高。やっていることは「音程を外さずにサビを10回連続で歌いきることが出来るか」という、「炎のチャレンジャー」よろしくな中身である。「炎のチャレンジャー」分からん人は検索してください。この番組も最初はそういう趣も強かった。


しかしやっているのがウンナンではなく千鳥とかまいたちとなれば、一筋縄でいくわけがない。VTRを見ながら悪意でしかない茶々が入ってきて、本筋と関係ないところで大暴れしていく。いやもうこの茶々が本筋だ。たとえば「HOME」の楽曲で知られる紅白歌手木山裕策がこの番組では「細魚(ほそぎょ)」と呼ばれ、歌マネの新星松浦航大が本人のあずかり知らぬところで「ほい航大」と呼ばれる。理由は各自調べていただきたいのだが、調べたところで本当にしょうもない。そのしょうもなさ実に心地よい。こういうばかばかしさにこそ時間を費やしたいのだ自分は。

 

そんな悪意あふれる番組にじゃあなんで出演者は出たがるのか。コロナ禍で仕事がなくなった最中に、この番組きっかけで一気に営業が増えたMr.シャチホコをして「鬼レンチャンドリーム」と言わしめるほどに影響力があるからだ。だから千鳥とかまいたちにいかに悪意をもってイジられようとも、そのリターンが大きすぎる。完全なるギブアンドテイクの関係。一部の熱烈ファンを除いては誰も損していない。


何にせよこの「鬼レンチャン」をベースとした徹頭徹尾くだらない番組が一日中展開されるのだと思うと、久々にワクワクする。

 

はずだった。


しかし先日こんな報道が。どうも「27時間テレビ」の復活と同時に、さんまと中居のラブメイト10も復活させるらしいのだ。「ヤングタウン」でさんま自身が語った話なので間違いはないのだろう。

 

はっきり言いたい。67歳(放送時には68歳になっている)のおじいちゃん(と敢えて書かせてもらう)が自分の好みの女性について語るコーナー、さすがにもうよくないか。

 

もちろんこのコーナーが一時代を築いたことは間違いない。27時間テレビといえばこのコーナーであり、たけしが扮する色々なキャラクターによる暴走、みたいな時代があったことを否定するつもりはない。しかし2023年の今、67歳となった明石家さんまが好みの女性・気になった女性をベスト10形式で発表するという企画。冷静に考えて、いや冷静にならなくてもどうかしている。コンプライアンス的な話ではない。明石家さんまが大スターであるといえども、67歳のおじいちゃんの女性の好みのランキング発表を、そのくらいの視聴者は心待ちにしているのだろうか。

 

少なくとも自分はしていない。むしろ「ちょっと見るに堪えない」くらいまで思う。テレビ大好きでかつてこのコーナーも楽しく見ていた自分ですら、「今まだそれやるの?」と思っているのに、テレビ見なくなっている自分より年下の人たちが、このコーナー見てテレビにワクワクする?あんまり使いたくない言葉ではあるが、Z世代がワクワクしてこのコーナー見ている光景なんぞ全く思い浮かばないのよ。何をどう頑張っても、若者の発想ではないのよ。


これは最近フジテレビで復活した「オールナイトフジコ」に関しても言えると思うのだけど、フジテレビの「あの頃よもう一度」的なノリは、今の若者ではなくて「あの頃の若者」、つまり今のオッサンにしか向いてない気がするんだ。中に「そういうオッサン」しか残ってないんだろうなフジは。テレビの未来のため、というよりは完全なるオッサンたちの「あの頃はよかったよな」的な懐古が優先。「あの頃のテレビの勢いが戻れば若者もテレビに戻ってくるだろう」的な考えだとしたら、何か根本的に違う気がするんだ。

 


「あちこちオードリー」でオリエンタルラジオ中田は「いまだにBIG3がテレビに出続けているのはおかしいんじゃないか」と言い放った。言葉だけ捉えればものすごい批判をしているように感じるが、番組を見た限りでは「自分たちが見ていたテレビに出ていた人がいまだにテレビに出続けている現状を考えると、そこにいては勝負にならないと思った」という意味であり、大物批判が目的ではなかった。この文言は様々な捉え方があると思うのだが*1、「こんな状況でも新しいものに変わろうとしないテレビ業界の危機感のなさ」と捉えるならば、今回の「ラブメイト10」の復活は、中田の言葉を象徴している出来事だとも言える。

 

未だにさんまにラブメイト10の話がきてしまうのも「どうかしている」し、それを「どうかしている」と思わず、さんまに打診するテレビマンもやっぱり「どうかしている」んだと思う。あの頃の勢いを思い出すためにも、あの頃の企画をオマージュして現代なりに新しく勢いのあることを何かやろう、じゃなくて単にオッサンによるあの頃の「勢いのある27時間テレビ」懐古じゃん。そりゃオリラジ中田も絶望するというもんだ。まるで次に矛先が向いていない。ラブメイト10というコンテンツそのものは否定しない。けどもうさんまではなくないか。さんまじゃないとこの企画がダメだというなら、もうこの企画じゃないのよ。さんまにやらせたいのは勢いのあった頃の懐古か、作り手側の悲しいエゴでしかないのよ。それ以外の理由があるなら教えてくれ。マジで。

 

深夜枠だからこそやりたい放題、もっと無茶苦茶が出来る若手に振ってもいいはずだ。
番組全体をたけしが仕切り、懐古に振り切れているならまだしも、今年は千鳥かまいたちダイアンとリニューアルを図ると言っているのだ。そこに何が悲しくておじいさんのラブメイト。こんなに残念なことがあるか。今回の27時間テレビは誰に向けて作るつもりなのか。もう自分より上の世代にしかテレビ作らないのか。そういう覚悟の番組か。


結局フジテレビは何がしたいんだろう。それとも自分の感覚がおかしいのか。所詮テレビ批評家気取りだからな。それにしたって誰か教えてはくれないか。

 

*1:自分も手放しでこの発言に賛同しているわけではなく、結果としてオリラジはそこの土俵から下りたんだなとは思っている