どっちのアキ子ショー

北海道は依然として余震が続いておりますが、とりあえず生きてます。


「全力!脱力タイムズ」は毎週面白くて楽しみな番組のひとつです。今週は土屋太鳳とよゐこ濱口の回。後半で濱口いじりとして和田アキ子のモノマネ芸人であるMr.シャチホコが登場。和田アキ子コントを繰り広げて笑いをさらっていった。


シャチホコの凄いところは「耳で聴いていると殆ど和田アキ子」なところだ。イントネーションと抑揚が本人のそれと同じ。もう少し声が大きいと完璧なのだけど、ここまで完成度の高い和田アキ子は今まで存在しなかったと言ってもいいくらいだろう。


ただ個人的にはひとつ気になることがある。それは「このまま和田アキ子をどっちの方向で突き詰めていくのか」ということだ。完全に余計なお世話なのだけど、ちょっと書いてみたい。


まず「どっちの方向」というのは、モノマネにおける「デフォルメ」と「リアル」における話だ。デフォルメってのはモノマネをしながら、そこに何か一つ乗っけて面白さを生むタイプ。コロッケに代表される、いわゆる「モノマネ芸人」はこちらにあたる。その一方で「リアル」タイプは、面白い面白くないではなく、もうとにかく似ていることを追求していくタイプ。イチローに対するニッチローがこれ。


現時点でMr.シャチホコのモノマネは「どっちつかず」な感じがする。以下検討。


シャチホコが和田として登場した場面と、「あの鐘を鳴らすのはあなた」を歌う場面、ともにシャチホコは「和田がノリノリのときの手首(byエハラマサヒロ)」をやっていた。もちろんこれって分かりやすく面白いし(まあエハラの発見だと思うんだけど、そこらへんはまあ置いておく)、和田であることを分かりやすくデフォルメした動きなんだけど、そんなに普段やる動きじゃあないわけですよ。だから「リアル和田アキ子」だとすれば、それは連発すべきではないし、「デフォルメ和田アキ子」であれば、多用すべきなんだろう。


また「あの鐘を鳴らすのはあなた」を歌うときに体を激しく左右に揺らしていた。これも「デフォルメ和田アキ子」としては正しい動き。「古い日記」などを歌う和田ってそういう動きをしているイメージがある。けど「あの鐘」を歌うときの和田は体を動かすことはない。どちらかと言えば直立で歌う感じ。これも「リアル和田」としたならば正しくない動きだ。


さて、今後シャチホコ和田はどちらに進むべきなのか。もちろん「モノマネ芸人」であるとするならば、和田らしいところを強調し笑いを生む「デフォルメ」をするのがいいと思うのだ。だから今やっていることは間違いじゃあないと思う。しかし個人的には「もっと本人を突き詰めた上で、デフォルメ的なことをするのではなくそのままをコピーしたほうが面白い」と思うのだ。


和田アキ子のモノマネをする芸人は珍しいわけではない。特徴のある歌い方や振る舞いはデフォルメの対象としては分かりやすく、モノマネしやすいということがあるんだろう。しかしMr.シャチホコのモノマネはそこらへんのレベルをひとつ突き抜けて「ほとんど本人」なのだ。だからこそ、安易にデフォルメに走るのではなく、「もう和田じゃねえかよ」ってレベルまで本人であることを突き詰めていけば、ただ和田なだけなのに面白いということになるんじゃないだろうか。ていうか、今のレベルが既にその段階に半分足を突っ込んでいる。だからこそデフォルメがなんか余計に感じるわけだ。


和田アキ子っぽいことをするのが面白い」ではなく「和田アキ子であることが既に面白い」。自分はそう思うので、余計な味付けをせずに、ただ淡々と和田アキ子をやればいいんじゃないだろうか、というのが余計な提言なのですけど。まあいいじゃない。