部屋とワイセツと私

自身の女性器の3Dデータを頒布したとして、「ろくでなし子」が逮捕された。


産経新聞の記事の引用。

インターネット上に自身の女性器の3Dデータを掲載し、ダウンロードさせたとして、警視庁保安課は、わいせつ電磁的記録頒布容疑で、東京都世田谷区野毛、自称芸術家、五十嵐恵容疑者(42)を逮捕した。同課によると、「わいせつ物とされるのは納得がいかない。自分にとっては手足と一緒」と容疑を否認している。

 3Dデータをわいせつ物と認定して立件するのは全国で初めて。データは数字や文字が並んでいるだけだが、3Dプリンターで形状を再現できることから、同課はわいせつ物に当たると判断した。

 五十嵐容疑者は「ろくでなし子」のペンネームで活動。3Dプリンターで作成した自身の性器の模型を使ったボートや人形などの作品を作成し、個展を開催していた。昨年10月以降、活動資金を寄付した男性ら30人以上に性器のデータを送付していたとみられる。

 逮捕容疑は3月20日、ネット上に自分の性器の3Dデータを掲載し、香川県の男性(30)らにダウンロードさせたとしている。


ええとまあ、難しい話ですよね。


個人的に自分の女性器をかたどった石膏をデコレーションすることが「芸術」なのかはよく分かりません。それが芸術と呼べるかどうかは後世が決めるのでしょうし、たとえそれが芸術であっても自分は「うん、よく分からない」の一言で済ませてしまいそう。芸術って本来そういうもんでいいと思うし、当時の常識からすれば眉をひそめられるという芸術は過去にもあったろう。だからこれが芸術かどうか、という議論を持ち出すと途端に迷宮入りだと思う。


自分は単純に「3Dデータは猥褻物なのか」という点がよくわからない。


逮捕状や今後行われるであろう裁判で争われることになるんだろうが、記事にもあるこの部分

3Dデータをわいせつ物と認定して立件するのは全国で初めて。データは数字や文字が並んでいるだけだが、3Dプリンターで形状を再現できることから、同課はわいせつ物に当たると判断した。

がひっかかる。形状を再現できることを「猥褻」としていいのだろうか。もちろん何を「猥褻」とするか、という点で「女性器が映りこんでいる」ことは猥褻に当たるのだろうが、女性器の3D設計図そのものはさすがに「猥褻」とは言い難いじゃないっすか。そんなこと言ったら、完全再現ではないものの、外側や内側を完全に「模している」オナホールはいったいどうなるのか。「TENGA」は外側がスタイリッシュだからセーフだけど、「名器の品格」は外側からして女性器だからダメ、とかそういうレベルの話じゃないのか。オナホ差別はよくない。


法的に言えば「女性器が」なので猥褻なんでしょうが、個人的には「女性器“のみ”は猥褻じゃないよな」とは思うんです。たとえば「壇蜜のオールヌード3Dデータで提供!」とかいう話だったらバカ売れしてなおかつ猥褻物とは言えないんでしょうが、自分からしたら「ド猥褻」です。さらに「壇蜜の膣内再現3Dオナホ」が発売されたら即逮捕でも仕方ない。猥褻だもの。相田みつをも納得の猥褻さ。しかし「壇蜜の女性器のみデータ」はあんまり猥褻な感じがしないんだよなあ。簡単にいえば、「パーツだけもらってもなあ」である。


おっぱいで考える。わたくしはおっぱい大好きなのでおっぱいについている乳首も大好きですが、かといって乳首だけそこにあってもそれはいやらしくも何ともないですよね。あくまでおっぱいという母体があってこその乳首。逆に乳首がないおっぱいも猥褻さは格段に下がります。


要は、この3Dデータが「股間込(あるいは女体込)」であれば「猥褻やむなしか」と思うのですが、「デコまん」アートを見る限り、このデータはあくまで「女性器外見」だけですよね?猥褻か否か、と言われれば「それだけあってもオカズにはならんから猥褻じゃない」という結論になります。


女性器はあくまで女性の股間についていて猥褻足りうるもの。女性器の形状の再現を猥褻とするならば、それはもうアワビ有罪じゃないっすか。けどアワビの3Dデータを配信しても有罪になることはないでしょう。だったら女性器の「形」というデータを再現できる3Dデータを有罪とするのはちょっと厳しいような気がするんだよなあ。デコまんがアートか否かを別とするなら、じゃああれだって結局はアウトでしょうよ。


3Dプリンターの悪用が怖いのは分かるけど、こんなところまで牽制しなくてもなあ、という素直な感想。これ、「HERO」で取り上げたら無罪になりませんかねぇ?(八嶋智人風)