その姿勢は嫌いじゃない

「激安バラエティー」を見ました。TBSで先週から始まった番組。北海道では先週この時間に日ハム戦の中継が不自然に一時間だけ入っていたので、北海道では今週から始まったことになっている。


先週から始まるとはかなり中途半端な時期なのでありますが、それというのもこの前枠だった「水曜ノンフィクション・関口宏モトをたどれば」があまりに低視聴率すぎて、7月の番組改変まで我慢出来なかったせい。そもそも「水曜ノンフィクション」のときから低視聴率だったのに、マイナーチェンジでそれに輪をかけて低い数字が出るのは当然のこと。個人的には関口宏が悪いというより、どう考えても低い数字しか出ないこの番組に対して腰を据えて放送することが出来なかったTBSのほうが悪いと思う。


とはいえTBSも商売であるから、低視聴率のくせに高いギャラを支払わなければならないのはどう考えても割に合わない。関口はこの番組がなくても「フレンドパーク」「サンデーモーニング」とTBSでかなり稼いでいるわけで、いまさらこの番組が消えたところでどうということもないだろうから、ここらが潮時だったということなのだろう。


というわけで関口枠が空いたので、急遽番組を拵えなくてはならなくなったTBSが苦肉の策で生んだのがこの「激安バラエティー」だ。森三中をメインに据え、1円でも安い商品や店を紹介するという、今の不景気にマッチングしたような番組。番組タイトルの「激安バラエティー」がそのまま過ぎて泣ける。


もちろん意味としては「激安紹介バラエティ」という意味なのだけど、メインが森三中で殆ど構成はVTR、ゲストも中途半端という「完全に安っぽいバラエティ」という意味も内包している。ついでに言えばこの番組にかけている予算も「激安」ということだ。堂々のゴールデンの時間の放送なのに、やってることは昼間のワイドショーの激安特集となんら変わりない。


だから初回の視聴率も3.6%となかなか激安な数字。しかしその前の週まで放送されていた関口の番組の視聴率が2.8%であるから、費用対効果を考えれば万万歳と言える。おそらく関口の1週ぶんのギャラだけでこの番組の1ヶ月ぶんの予算だと思う。数字がほぼ同じなら、そりゃあ激安を選ぶよなあ。


そんな事情が透けて見えるからこそ、ここのサイト名ではないけどこの番組の「投げやり」感は非常に強い。そもそも7月の改変までのつなぎ番組の可能性も大いにあるわけで、そんな番組に構成もへったくれもないのだろう。深夜番組ならまだしも、堂々のゴールデンの時間帯にここまで投げやりだとちょっと笑える。自分は森三中の激安な感じがあまり好きではないが、ここまで突き詰めて「激安」で押し切られるとなんだか爽快感すらある。


かつて日テレが主に巨人戦の雨傘番組(野球が雨天中止の時に放送される番組)になることが多かった平日19時台に「みのもんた爆裂77」という番組を放送していたことがあった。自分のおぼろげな記憶では、あるテーマについて(たとえばラーメン、とか)77の項目を紹介するという、雨傘であまり放送されないことを前提のかなり投げやりな感じの番組だった。この「激安バラエティー」からも同じにおいがする。放送内容自体はどうでもいいんだけど、番組全体が醸す刹那的で投げやりな姿勢は嫌いじゃない。最後までその姿勢で突っ走ってほしいもんだ。