偉そうにオンバトセミファイナルA組を振り返る

爆笑オンエアバトル第11回チャンピオン大会セミファイナルA組」を見ました。番組タイトルだけで妙に長い。


今期はオンバトをあまり見なかったのですけど、毎年チャンピオン大会ならびにセミファイナルはちゃんと見ることにしているので、今年もしっかり見ました。で、マトモに感想を書き並べてもいいのですが、ここ数年、特にM-1などにおいて「素人がこぞって偉そうにお笑いの感想を書くことって何だろう?」という気持ちが強くなってしまい、普通に書くことに抵抗が出来てしまいました。


しかし若いときの過ちというのは誰にでもあるわけで、かくいう自分も2005年のシーズンのオンバトの感想文を偉そうに書き殴っていたのです。今読み返すと本当に偉そうな感想が書いてあって恥ずかしい限りなのです(ま、それを言ってしまえばここの文章は全て偉そうではあるんですけど)。


ためしに2005年5月のオンバトにおけるトータルテンボスの感想を抜粋してみると

「半端ねえ」のフレーズでお馴染みのコンビ。若者言葉を駆使した漫才かと思いきや実は結構な語彙でもって構成されている意外性も盛り込んだ知性派でもある。昨年のM1に出場してから知名度もぐっと上がったが、その頃に比べて漫才の腕もぐっと上がった印象。ネタも面白かった。しかし何より良かったのは「今週のハイライト」がなくなったこと。これ前1ヶ月くらい前に見たときにはまだやってたんだけど、今回やらなかった。

「何か新しいことをやる」とか「自分たちのコンビオリジナルの何かをやる」というこだわりでもって行われていたんだろうけど、なくして大正解。遅すぎるくらいである。でもハイライトを今止めたということは、自分たちのこだわりに頑なになるよりもテンポ良く終わることで笑いを優先したということでもあり、笑いに対する貪欲さが出たということだろう。これからも期待できそう。て、かなり偉そうに書いたな。何様だ。

最後に自分で「偉そう」と書いているのが悲しいくらいに偉そうです。けど自分でいうのも本当にアレだが、書いていることはそこそこ的を射ていると思わないでもない。未だにトータルテンボスがハイライトをやっていたらここまで伸びなかったと思うし。


で、今オンバトで活躍している人たちってのは2005年頃のニューカマーたちだったりします。というわけで今回は、過去の自分の偉そうな感想を掲載しつつ、現時点における自分の「傲慢」な感想を述べてみたいと思います。過去の感想が見当たらない人たちは普通に感想を書こうと思います。

上々軍団

2005.7.26
漫才。ネタも技術もまだまだアラが目立ち、それほど笑えるでもなかったんだけど、なぜOAされたかと考えたら、日本人はみんな合唱曲が好きなんだという事実に突き当たる。日本人にとって合唱とは少なくとも一度はやったことがある集団行事であり、ある程度有名な曲ならみんな知ってる。そういう部分を突いて来たこのネタは作戦勝ちかもしれない。ま、合唱曲は最初だけなんだけど。掴みで持っていったつうことで。

この頃から歌ネタに対するいちゃもんをつけているのですが、今もって歌ネタが彼らの鉄板スタイルになっているので、批判としては適当じゃないでしょう。今回のネタもそれなりに面白いとは思ったけど、ネタの伏線の張り方が弱いように思えた。なんというか、バレバレだ。

タイムマシーン3号

2005.6.26
漫才。ボケの人(デブ)のテンションが高いので引きずられる感じがとてもよい。会話をうまくずらしてくるので、気持ちよく笑いに繋がるし、分かりやすい。オーバー500という好成績もなんとなく頷けるのである。先週オンエアされた「響」のデブの人とは違って、こちらはマスコット的デブを極力努めている様子が窺え、拒否反応も起こらない。安心して笑わせる域に達しているので、今後どこまで行けるかが課題。

タイムマシーン3号に関しては初見の時から一貫して高評価で、未だにその気持ちは変わってないんだけども、この年のM-1決勝でデブネタを推しすぎて失敗してしまったことがこのコンビを迷走させているような気がしてならない。いや今回のネタも充分に面白かっただけど、山本のツッコミが過剰になりすぎてアンタッチャブル柴田状態になっていて、元々あった絶妙な間を壊しているような気がする。

ブロードキャスト

オンバトでの漫才は初見。面白くなかったわけでもないけど、別段面白かったところも思い出せない。いや確かに笑ったところはあったように思うんだけど、そこがどこだったか思い出せない。そういう漫才。いや悪くはないんだけど、と言いたくなる。

ななめ45°

2005.7.10
コント。不倫関係を電器屋に置き換えた設定が秀逸。しかし、設定で満足してしまったのか、その後の電器用語を不倫用語に置き換えたりするのはさほど上手いとは思わなかったし、オチもいまいち。設定勝ちのようなコントだった。ただコントそのものは二人が世界に入り込んで、一人が客の視点から突っ込みを入れるという3人組にしか出来ないコントなので、3人組コントにしてはストレスなく見れた。

ななめ45°の人気が出たのは昨年のレッドカーペットではあるんだけど、この感想を見ても分かるように、やってることは4年前からさほど変わってない。上手いこと言ってるけど、それが大爆笑というわけでもなく。今回披露したネタは彼らの18番である鉄道ネタで、会場のお客さんも彼らの代表ネタであることを了解しているから、笑いのハードルは低い。その一方で「見たことある」という飽きと戦わなければならないんだけど。地方大会ということで地元鉄道ネタを組み込んでくるソツのなさに底力を感じる。

東京03

2005.6.20
コント。自分は3人組のコントがあまり得意ではない。なぜかといえば、3人である必要性のないものを無理やり3人してコントを作っているケースが目立ち、テンポの悪さを露呈することがままあるからである。その点東京03はしっかりと必然性を打ち出してきていて(これは元々3人組であったプラスドライバーの角田によるところが大きいのでは、と勝手に思う)すんなり笑える。オチはそんなに強くないけど、全体のハイテンションを考えれば余裕のトップ合格というとこだろうか。キャリアが違う。

東京03も好きなグループで、昨年のキングオブコントでも有力視してたんだけど決勝すら届かないという結果。今回のネタも「らしさ」を存分に発揮したいいネタだったと思うんだけどなあ。大きな笑いどころに欠けたのかなあ。うーん。

アームストロング

オンバトでのコントは初見。誘拐犯のネタで、電話をかけるときにいちいち「184」のくだりをしつこいくらいに繰り返すのだけど、これが後半ジワジワと効いてくる。非常にコント巧者であると感じました。面白かったです。

ギャロップ

漫才。お決まりのハゲネタでつかんで漫才はオーソドックス。個人的にはちょっと弱いかなと感じたけど地力が強いので余裕の通過といったところ。ここも取り立てて感想がない。

パップコーン

全くの初見。5人組のコント。先日「やりすぎコージー」で小島よしおが以前所属していたコントユニット「WAGE」のネタを見たせいもあるのか、集団のコントって全部同じに見える。とりわけボケに「ふざけている」大学生のサークルノリを強く感じて苦手だ。もちろん好みの問題ではあるんだけど。とはいえ、ネタはそこまで悪いとは思わなかった。

パンクブーブー

2005.8.30
漫才。このコンビに関しては以前友人と話題にしたことがあるんだけど、その時話した印象と変わっていない。面白いには面白いんだけど、他の漫才師がやっているような面白い部分のいいとこ取りをしたようなコンビで、彼ら特有の「面白さ」が見出せない。高性能だけど量産型、つう印象。今回の漫才も別につまらなくはなかったんだけど、他の漫才師がやっても面白くなるんではないかと思う。彼らの持ち味が見えるようにならないとブレイクしないのでは。惜しい。

2005.10.31
漫才。いつもはあまり評価しないコンビなんだけども、今回に関して言えば抜群に面白かった。それはやっぱり流れ星と完全にネタ被りしたという状況、さらには出演順番が最後(だったらしい)という要素も相まって、テンションがいつもよりも高めというのか、どこかヤケクソの空気すら漂っていて、その勢いが漫才に乗り移っていたからのような気がする。こういう勢いが常に漫才に乗り移るようになれば今後一気に売れていくような気がするんだけども。光が見えた感じ。自分だけか。

パンクブーブーに関してはこの2本の感想が全て。以前は上手さだけが見えて持ち味に欠けていたという印象が強かったが、10.31のネタでは今のスタイルを彷彿とさせるドタバタの強いネタを披露し、「これは面白い」と思えたものの以降あまりテレビで見ることはなかった。だが昨年レッドカーペットなどで健在ぶりを確認。勢いも衰えておらず、このままいけば今年のチャンピオン最右翼。

U字工事

2005.7.26
漫才。栃木県なまりの漫才なのだが、これは面白かった。地方の訛を漫才に生かすというのはそれほど珍しいわけではないが、程よく地方自虐ネタが入っていたりと最後まで飽きなかった。これで腕が上がったらかなり安定して舞台で食べていけるような気がする。裏を返せばあまりテレビのバラエティ向きではないと思う。でもそれでいいんじゃないか。

2005.9.26
漫才。栃木なまりが特徴あるコンビであり、栃木なまりと栃木(田舎)ネタだけで押しているように見えるけども、なかなかどうして面白いのは腕がある証拠。前見たときより更に漫才のテンポ(間かな)が良くなっているので、これからもっと面白くなるのではないだろうか。ただ、ボケの益子のセルフツッコミ(自分の顔を殴るやつ)はともすれば見ている人が引いてしまうのでそこそこにしたほうがいいのかも。

当時は今ほど漫才のスタイルも完成されておらずそこまで面白くなかったはずなのだけど、なぜか自分絶賛してます。今回も「栃木VS茨城」のネタで押して自分には普通に面白かったのだけど、どうやら愛知の人々にはイマイチピンと来なかったらしく惨敗。奇しくも昨年M-1決勝でオール巨人が指摘しようとしたことが現実のものになったということか。自分は今のまま栃木(VS茨城)ネタを押し続けていいと思うんだけど、もしかしたらまたネタを転換するのかもしれない。



決勝に残ったのはKB順にパンクブーブータイムマシーン3号ギャロップ、アームストロング、ななめ45°の5組。KBでも実力でもパンクブーブータイムマシーン3号の2組が抜けており、決勝でもこの2組が有力でしょう。B組の有力どころは超新塾、流れ星、ラバーガールあたりだが、彼らをおいてもこの2組優位は変わらずと見る。


来期よりオンバトが月イチとなり、「熱唱オンバト」と隔週で放送されていた頃よりもさらに不遇のシーズンとなる。実質これが最後のオンバトチャンピオンとなる可能性もあるわけで、注目せずにはいられない。心情的にはタイムマシーン3号に獲ってほしいが、勢いと実力を考えるとパンクブーブーやや有利。果たしてどうなる。とりあえず次週セミファイナルB組。