合掌

くりぃむナントカ」の最終回を見た。


最終回だから、ということで特別なことをやるでもなく(通常ならば「芸能界ナンバー2選手権」のところを「ナンバー1選手権」になってはいたけど)いつもの放送を特に悲しむでもなく淡々と放送していた印象。最後の竹山ドッキリも一貫して竹山をドッキリでのみ起用してきたこの番組らしさが光る。大木アナの涙もいいフリになってたし。


でまあ、この最終回の視聴率が7.1%だったわけです。決して高い数字ではありませんが、この枠に移動してからは5%前後の数字しか叩き出していなかったので、まあ取ったほうだとは思います。しかし裏の「ヘキサゴン」は23.5%も取ってるので惨敗ですわな。


そもそも「くりぃむナントカ」は月曜の23時台で放送していた頃は10%前後を取っていました。それが枠移動してから視聴率を半減させてしまったのだから、これはもう完全に「移動失敗」としか言えない。もちろん深夜に比べて裏番組が強くなっている(なにしろ現在絶好調の「ヘキサゴン」の裏)わけで、一概に数字だけで比較してもしょうがないけども、やっぱり失敗だと言いたくなる。


秋から「ナニコレ珍百景」がゴールデンに昇格する。テレ朝が23時台のバラエティをゴールデンに昇格させて討ち死にするというパターンは何度も繰り返されており、番組のファンからは「またか!」という声があがる。その中でもよく聞く批判が「ゴールデンに持っていくことで、番組がよりヌルい内容に改悪されて番組の質が落ちる」というもの。確かにこの批判に思い当たる番組(「銭形金太郎」など)はある。しかし、「くりぃむナントカ」に関して言えば、これは当てはまらないと思っている。


自分は深夜時代はそれほど「くりぃむナントカ」の熱心な視聴者ではなかった。しかしゴールデンに移動してからは意図的に見るようにしてきた。野球の雨傘で急遽放送になったなどの事情を除けば、ほぼ毎回録画して見たように思う。つまり「見よう」と思って見た回数は23時台よりもゴールデンに移動してからのほうが多い。


深夜初期〜中期にやっていたような突飛な企画はゴールデンでは放送されなかったけど、番組後期のメインコーナー(「ビンカン選手権」「芸能界ナンバー2選手権」など)はそのままゴールデンに移譲されたフシがある。ゴールデン向けのヌルめの企画(粘土でしりとりをするコーナーなど)もあるにはあったが、自分の感覚からすればゴールデン移行前の流れをそれほど壊していないようには見えた。つまりは、10%前後をキープしていた23時台の頃から番組そのものが大きく変質したようには思えない。


にも関わらずここまで数字が落ち込むのはなぜか。大きな理由は「裏番組が強い」だろう。「ヘキサゴン」のように20%台を出す番組が裏にあっては、さすがに苦戦する。これは番組編成上の問題であり仕方ない。そしてもうひとつは「23時台の視聴者は19時台に番組そのものを見ることが出来ない」だろう。23 時台の番組をよく見ていたはずの層はこの時間は帰宅していないか、そもそもテレビを見る時間帯でもないのだろう。23時台がネオバラエティ枠だと規定されるのも頷けるわけで、この時間帯をテレビ視聴に充てる人々は19時台にテレビを見ない。単に視聴者層のズレが考えられる。


これらの理由をもって「ゴールデン移行は愚だ」という批判は分かる。しかし、前述のように「ゴールデンに移動したら番組内容そのものがダメになる」という理由で批判している人は、本当に番組を見た上で批判しているのだろうか?とも思ってしまう。今までの番組は確かにそのような失敗をしていた。しかし「くりぃむナントカ」に関して言えば、必ずしもそうではなかった。にも関わらずここまで数字が落ちてしまうのは「そうなるに決まっている」という視聴者の思い込みによるものがあるんじゃないだろうか。


さらに思うのは、ゴールデン移行前から既に番組の賞味期限が限界に来ている可能性。同じことをやってるのに数字が取れないということは、企画そのものが 23時台からダメになりつつあったのが、ゴールデンに移行していったん区切りをつけたら急にアラが目立つようになったということも考えられる。漫然と自分のなかの面白いイメージを頼りに深夜初期の企画とゴールデン移行後の企画を比べるのではなく、冷静に移行直前と移行直後を比べてみる必要がある。


自分のなかのひとつの結論としては、「ゴールデンに行くとダメになるというテレ朝の過去のバラエティの悪評がそのまま視聴率離れに繋がっているだけで、実は移行前と移行後の番組の中身をきっちり評価して見限った視聴者は殆どいない」んだと思う。当然これに「時間的都合で見れない」「裏番組を見る」という二大要素が加わると、あっという間に低視聴率バラエティの誕生だ。


たとえば「アメトーーク」がゴールデンに移動したときにゴールデンに移動して数字が落ちれば、おそらくは同じような評価を与えられるだろう。しかしそこでいったん考えてみてほしい。深夜時代とどこが変わってしまったのかと。実は移行前には既に同じようなクオリティで手詰まりの匂いがしていなかったのではないか。個人的に「アメトーーク」は実はもう限界に近い番組であると思っているので、いつ終了になろうとも、あるいはゴールデンに行くことになってもさほど不思議ではない。


「ゴールデンに行くからダメになる」のか、「ダメになりそうだからゴールデンに持っていく」のかでは大きく違う。世間では前者の考えが主流かもしれないが、案外後者が正鵠を射ている気がするのは自分だけだろうか。とにもかくにも、ゴールデンで散った「くりぃむナントカ」に合掌。



明日は「高校生クイズ」について書きます。