あなたも私も齢をとる

ピカルの定理」が次回で打ち切りだそうで。


深夜→11時台→ゴールデン、とフジのバラエティの王道を突き進んできた同番組であったが、偉大なる先達には遠く及ばない結果となってしまった。散々「めちゃイケの劣化」と言われてきた「はねるのトびら」でさえ、深夜から含めれば10年やっていたわけで、それと比べてしまうとかなり物足りないと言わざるを得ない。


ただ、これは純粋に「面白かったかどうか」で比べることは出来ないと思っている。フジが亀山新社長となり、番組編成の大幅な変更がなされるであろうことは大方の予想通りであり、今回その中に「ピカル」が入っていたということだろう。番組続行にはその時の運不運があることは否定できない。面白くても事故があって終わってしまう番組だってあるわけだ。


しかしまあ今回この情報に関するネット界隈での反応は、ほぼ同じで「つまんなかったから当然だ」というもの。確かに視聴率はゴールデン進出後一度も10%を超えることがなかったようだ。数字だけでいえば「つまらない」という烙印を押されても仕方ないのかもしれない。ただ、自分は思う。「本当につまらなかったのだろうか」と。


先に断りを入れておくが、自分はゴールデン進出後の「ピカルの定理」を一度も見たことがない。深夜の特番と11時台のは何度か見たことがあった。千鳥の入った同番組を自分は見たことがないわけで、はっきり言えば「面白かったのかどうかもよく分からない」のである。だって、数字からすれば10%に満たない番組。そんなにそんなにみんな見てないだろうよ。だからこそ「よく分からん」というのが本音。


また、「ピカルの定理」は自分は「子供向け番組」だと思っている。製作者側がどのように思っているかは知らない。ただ、「めちゃイケ」にしろ「はねトび」にしろ、当時熱狂的な支持をしていたのはどちらも若い世代であり、その世代が歳を経ることで全世代に知られるようになった、という見方をするのが正しいんだと思う。「めちゃイケ」なんて最初から知ってたオッサンはいなかったはずだ。しかし当時「若者」として見ていた自分が「オッサン」になってもまだ「めちゃイケ」を見ているからこそ続いている。ただそれだけの話だろう。


それなのに「今の自分の目線」で「ピカルの定理」をつまらんと言ってしまうのはやっぱり滑稽なんだよなあ。今の中高生、小学生からすれば「ピカルの定理」は当時のめちゃイケほどに、はねトびほどに面白く刺激的な可能性は十二分にある。自分は中高生でも小学生でもないから、今のリアルな感覚は分からない。それが「時代」つうもんだろう。今の自分が当時の「めちゃモテ」を見てもあんまり面白くないかもしれない。そして今の中学生が「めちゃイケ」を見て笑うのかもまた難しいところ。過去の面白い記憶ほどアテにならないもんはない。


自分は別に「ピカルの定理」が終わってもなんも困らない。そもそも見てないんだから。けど中高生からしたら、オッサンが思う以上に「なんでだよ」という声が大きいのかもしれないなあ、と10%に満たない数字に含まれている中高生の数を慮るばかりである。少子化なんだもん、数字は低くなるさ。


もちろん「本当にクソつまらなかった」という可能性を否定するものではない。何にせよ、オッサンが「あの番組つまらん」と言うのは若干違う気がする、というだけの話。